米中経済に「天地の差」
資金統制へ乗出す習氏
金融へ依存の政策限界
GDP世界シェア峠へ
中国経済は、混迷の度を深めている。中国は情報統制を行っており、不利な経済情報をブロックしている。だが、株式市況だけは覆い隠せず世界へ惨状が発信され、経済の実勢悪が晒されている。中国の株式市場は1月24日、過去3年間で中国本土と香港市場で失われた時価総額が、6兆ドル(約885兆円)に達した。英国GDPの2年分という。経済政策の失敗が招いた結果だ。
中国は、これまで「中国式社会主義」の優秀性を誇示してきた。だが今や、見る影もないほどの株価急落である。中国は、資本主義的事象として株価急落を切り捨てられないところに悩みがある。海外の資金が、株式市場を通じ国内へ流入しているからだ。その株式市場は、欧米の市場原則によって動いている。中国は最終的に、このルールを受入れるほかない弱い立場なのだ。
中国は、株式市場へ中国式社会主義ルールを持ち込めないのだ。昨今の中国株急落は、中国式経済モデルが世界ルールに適応できなくなった証明である。習近平氏は、この認識が全くないのだ。最近は、さらに「中国式金融モデル」を持ち込もうとしている。中国経済の混乱は、一層深まることが不可避となった。
米中経済に「天地の差」
米中経済は最近、23年のGDP統計が出そろった。その優劣を比較することが可能で、極めて興味深いデータが出てきたのである。中国経済の限界を明らかにしている。
2023年の米国GDPは、名目ベースで前年比6.3%増(実質2.5%増)である。中国の名目GDPが4.6%増(実質5.2%増)を上回る伸びとなった。米国経済はインフレ下にある一方、中国経済がデフレ下にあったことを示している。中国が、需要不足経済に落ち込んでいたのだ。それは、中国のGDPの名目値の伸び率が、実質値の伸び率を下回る「名実逆転」に陥り、デフレ期特有の現象になっていたからである。
米国経済は、中国経済よりも良好な状態で、コロナ禍を脱したことを示している。中国経済は、2020~22年のゼロコロナによって成長基盤を傷めた上に、不動産バブル崩壊という重荷を負っている。米中の経済成長率比較だけでも、米国が市場経済ルールに則って運営していることのプラス面を示している。中国は、ゼロコロナのように政治権力によって経済を強引に統制する矛盾を赤裸々に示したのだ。
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