【畑での会話】
「今月からの講演会どうしよう」
畑では講演会の話し合いがされていた。
毎月の講演会が恒例になっていたのだが
毎月日が迫ってから慌てて企画するパターンだった。
そこに集っているのは、友達のユキオを講師にしてセミナーを行うためにボランティアでやっているのだった。
理容室を閉めて、いろんな人のカウンセリングを無料で行なったり、畑の小屋をつかって毎月お話会を開いていたのだが、ある時一人の女性が泣きながらにみんなに訴えたのだった。
「みんな、ユキオ先生の凄い話を聞いてるんだからもっと考えようよ、先生はずっと無償で話をしたりカウンセリングをしてくれてるけど、少しでもいいからお金を払ったほうがいいんじゃない」
そのキッカケとなったのは、飲み物とお菓子を買ってきた女性の一言だった。
「先生買ってきました。領収書です」
なんとそのお話会のために、ユキオがお金を出して飲み物やお菓子まで用意していたのである。
ただで話すどころか、みんなを気配って飲み物を自腹で用意していたのだ。
その女性は初めて参加して凄く感動していたのだが、お話会がただだと知りびっくりしたのである。それどころか飲み物やお菓子まで用意しているなんて、常識ではありえないと思ったのだった。
それで他の人も考え直し、どうせなら大きな会場で沢山の人を呼んで、利益をすべてユキオに渡そうと考え、毎月開催するようになったのだが、素人の集まりである。
段取りが悪くて毎月あたふたしているのだった。
「今月はいつやるの?」
みつおが何気なく聞くと
「20日の日曜日」
一人の女性が答えた。
「えっ?20日ってあと10日しかないよ」
「だっからよ、いつもギリギリになるんだよ」
とまるで他人事のようだった。
10日前だと言うのにセミナーのテーマもフライヤーもまだできていないのである。
ユキオは、テーマが決まればどんな事でも話せるので全てをメンバーに委ねているのである。
だから、自分たちが聞きたい事をテーマにして話してもらうのだった。
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