『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!
VOL.454 / 草津民事裁判の判決は4月17日に届く予定
2024年2月1日発行
今週の目次
1.コラム~うつうつ湯避行 = “愉しむ酒”と“逃げる酒”
2.今週の“一湯”両断!= 草津民事裁判の判決は4月17日に届く予定
3.不定期連載 郷土の味 逍遥 = 「愛長崎県壱岐市のひきとおし」
4. 読者からのお便りコーナー = 裁判、お疲れ様でした
5.ただいま仕事中!&発刊済みのお仕事一覧
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1. コラム〜うつうつ湯避行 #454
「“愉しむ酒”と“逃げる酒”」
僕は会社を退職して以来20年以上になるが、一度も「休肝日」というものをとったことがない。
まあ、何度か入院をしているので、その間は酒を抜かざるをえなかったのだが、それ以外には「年間366日飲んでいる」という表現が冗談ではないくらい毎日飲んでいる。
それは第一に「お酒が好きだから」というのは当然だが、このお酒にも2種類あって、一つは“愉しむ酒”であり、もう一つは“逃げる酒”である。
前者は、1日よく頑張ったなぁ、という思いで充足しつつ、旨いつまみをアテに心落ち着けて飲むものだ。
一方、後者の場合は、精神的に追い詰められてどうにもならず、いわゆる「酒に逃げる」という場合に飲む酒である。
後者の場合は、なんとなくつまみも美味しくはなく、ただ酔っ払ってものを忘れたいので酒の力を借りている、という感じになる。
へべれけになるまで飲んで寝てしまうので、翌朝はテーブルの上のタンブラーに氷が溶けて薄まったハイボールが必ず残っている。
このような場合は概ね翌日も体調が悪く、精神状態も劣悪で、ウジウジとうつ病患者らしい堂々巡りの思考に落ち込み、仕事も手につかず、またもや酒に逃げることの繰り返しとなってしまう。
この悪循環から逃げ出すのにはなんらかのきっかけが必要で、例えば良い仕事をして高く評価された時、趣味を朝からたっぷり楽しんで心地よい疲労感がある時など、気分が楽しくなるような出来事がそれのきっかけにあたる。
しかし現在の僕にはまともな仕事もなく、昔はかなりの多趣味だったのだが、うつ病を患って以降、何もかもが面倒になってほとんど辞めてしまった。
趣味の中で微かに興味が残っていると自覚しているのは、キャンプと釣りである。
しかし、重篤な左足の蜂窩織炎の後遺症でウエーディングシューズを履くのが痛くて辛くて、昨年は一度も釣りに行かなかった。
もう一つの趣味だったキャンプも、睡眠時無呼吸症候群のために電源がないテント泊ができず、行けてもバンガローに泊まるか、そもそも諦めて自宅の玄関前でソロバーベキューをするくらいのものになってしまった。
渓流釣りの場合はキャッチ&リリース派で、釣った魚は写真を撮って逃してしまうのだが、海釣りに関しては釣った魚は美味しく食べる派であった。
このような場合に、アジフライやなめろう、キスやギンポの天ぷら、カワハギの肝和えなどを自分で作り、これらを肴に飲む酒こそ、愉しむ酒である。
キャンプについては、一時は年間50泊以上していたものだった。
いつも原付バイク(といってもヤマハのDT50)にまたがって、毎週、秩父や奥多摩、丹沢、あとは群馬県の神流川あたりにテントを張って泊まっていた。
春には山菜を採って炒め物にしたり茹でてお浸しにしたりして、ウイスキーのロックをグイグイ飲んでいた。
これも愉しむ酒である。
温泉はどうなの?という声が聞こえそうだが、僕にとって温泉へ行くのは、どうやっても仕事になってしまうのである。
とはいえ、だから愉しくないし面倒だ、というふうにならないのは、やっぱり何らかの愉しみがあるからに違いない。
一日中撮影をこなして、ゆっくりと極上湯に浸かり、各地の旬を肴に飲む酒は、愉しむ酒であることは疑うべくもない。
先立つもの(取材費)がまったくないのでどうしようか困っているが、東海・関西編の民宿取材に行けたら、きっと愉しい酒を飲めるはずである。
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