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vol.214:2023年小売マーケティングの優れた事例集。消費者への誠実さが求められる時代に

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2024/02/05
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 214 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、 2023年の小売マーケティングの優れた事例についてご紹介します。 ご承知のように中国は不景気の真っ只中で、消費者マインドは冷え込んでいます。しかし、街の雰囲気まで暗くなっているかというとそうでもありません。相変わらず人手は多く、賑わってはいます。ただし、買い物をする人は少なく、食事も低価格の中華ファストフードに流れてしまいます。「消費をしなくなった」というより、みんなが消費額を抑えるようになったという方が実態にあっているかもしれません。 その状況下でも、小売企業はあの手この手でプロモーションやキャンペーンを行い、たくさんの成功事例が生まれています。特にラッキンの「ラッキン×茅台酒」、焼肉の本場としての観光地開発をした淄博、貴州省の榕江県のローカルサッカーリーグ「村超」は爆発的な人気となり、「事件」と呼んでもいいほどの成功を収めました。 このような成功事例に共通するのは誠実さです。淄博は小さな地方都市であり、市政府、市民をあげて観光客を大歓迎する体制をとりました。村超は一目見て、サッカー好きの人が集まって、手作りでリーグ運営をしていることがわかります。 また、ライブコマースのインフルエンサーも、大きなビジネスとなった第1世代、賑やかにして勢いで売ってしまう第2世代が淘汰をされ始め、誠実に製品のよさを訴える第3世代に移り変わろうとしています。 消費者は複雑なクーポンを駆使したり、広告モデルに振り回されて得をするということに疲れ始めています。誠実に良心的な価格で商品を販売してくれる小売チャンネルを求めるようになっています。 それが、成功したキャンペーン事例、マーケティング事例から見えてきます。 今回は、2023年に成功をしたキャンペーン事例、マーケティング事例をご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 214 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ 2023年小売マーケティングの優れた事例集。消費者への誠実さが求められる時代に 小米物語その132 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2023年小売マーケティングの優れた事例集。 消費者への誠実さが求められる時代に ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は2023年に起きた小売マーケティングでの事件をまとめてご紹介します。 中国はかつてないほどの不況感が漂っています。繁華街の人手は相変わらずですが、人がものを買っていません。ただ歩いているだけで、たまにコンビニで水やジュースを買うぐらいで、食事も中華ファストフードに行きます。最近では、水筒男子、水筒女子も増えているということです。いろいろ聞いてみると、どの都市であっても、大都市から地方都市まで似たような状況のようです。 その中でも、小売業者たちは沈滞をせず、あの手この手で売上をつくろうとするのはさすがです。消費者もそのような試みには敏感に反応し消費をするため、不況感はさほど深刻にはなりません。不況なのになんとなく明るさが漂っています。 米国から始まったキャンセルカルチャー=不適切な発言をしたり、行動をした著名な存在をSNSなどで批判し、社会から排除しようとする動きは、日本でも多くの人がやりすぎではないかと感じるようになっています。中国でも同じようなキャンセルカルチャーの動きはあります。しかし、ただキャンセルして批判するだけでなく、それを利用してセールスに結びつけようとする人が登場してくるなど、中国らしさがあります。後ほど、そのような実例をご紹介しますが、あまりにバカバカしすぎて、最初に批判していた人たちもつい笑ってしまい、最初の重苦しい空気はどこかにいってしまいます。中国人はポジティブな人が多く、楽しいことが大好きという民族性がよく出ていると思います。 2023年で最も成功し、鮮やかと言えるキャンペーンが、カフェチェーンの「瑞幸珈琲」(ルイシン、Luckin Coffee)と伝統的な白酒である茅台酒(マオタイ)が共同で開発をした「醤香ラテ」です。わずか1日で540万杯が売れるという、ちょっとありえない売れ行きとなりました。 茅台酒は中国では誰でも知っている伝統酒で、国賓を招くレセプションでは必ず出され、国酒とも呼ばれます。この茅台酒のエキスを使ったラテが醤香ラテです。9月4日に発売となり、その日に542万杯が売れ、売上は1億元を突破しました。それでもしばらくの間は、どの店舗に行っても、数百人待ちの状態で手に入らず、醤香ラテを求めて街を奔走する人も続出しました。

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