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救急車の7,700円

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室228.2024.2.4. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 救急車の7,700円  皆さんは救急車の利用について、どのようにお考えでしょうか。救急車は当たり前のように、ただだと思ってないでしょうか。  そもそもですが、救急車は重症者を運ぶためのツールです。単なる風邪引きや、病院へ勤務の都合で受診できなかったと言う理由で、救急車を呼ぶためのものではありません。ところが現在、本来の使われ方とは違う使われ方で救急車が使われていることが多いのが現状です。  まず病院に運ばれてくる患者さん、救急車に乗って運ばれてくる患者さんは重症の方もいますが、それと同数以上に、本来ならば、救急車が必要でない患者さんも多いのが現状です。救急外来と言うと、人工呼吸器管理や、緊急入院等華々しい世界を皆様は思い浮かばれるかもしれませんが、実際は、そのようなものではなく、もっと軽症な方も多く運ばれてくるのが現状です。  松阪市に話を戻すと、同じ人口規模あたりの救急搬送の件数が、日本で最も多い状況になってしまいました。救急車の台数や、消防士の方々の人数は限られているのに、多い日では1日に60件以上出動しているのが現状です。このような状況で例えば火事が起こったり、さらに事故が起こったりするととてもではないですけれども、救急対応できない状況となってきています。   消防士さんのストレスも大変です。本年の正月などは、多くの方が家庭でくつろいでいる中で、ほぼ休む間もなく救急搬送に尽力されています。  救急車が呼ばれれば呼ばれるほど、現場に到着することが遅くなり、病院に搬送される時間もかなりかかるようになります。そうするとどうなるでしょうか。重症で本当に救急車が必要な方々が病院に運ばれる時間が遅くなってしまいます。  多くの方々は、必要に迫られて、救急車を呼んでいる事は事実ですが、タクシーがわりに救急車を利用している人や、ごく軽症であるにもかかわらず、救急車を呼んでいる。モラルが低下した人たちも大勢いる事は事実です。  松阪の救急医療を守るためには、救急車の出動件数を少なくする必要があり、そういう目的で救急外来に到着して入院が必要でなかった方々から、選定療養費として、7700円松阪市では徴収するようになります。  タクシー代わりに救急車を呼んでいる方々は、モラルが低い方が多く、このような手段を講じると救急外来でかなりトラブルになることが予想され、病院側としても徴収したいわけではありません。しかしながら、このままでは松阪の救急医療が立ち行かなくなり、守れる命が守れなくなってしまうため、仕方なく、このような決定がなされました。  今回マスコミなどで大きく報道されてしまいましたが、これは松阪市が初めてではなく、隣の伊勢市などではかなり前から行っていることです。  少しでも救急車の適正利用につながるよう考え出された苦肉の策であるわけです。皆さんも救急車を呼ぶ際には、重症者の命を守るため、本当に救急車が必要かどうかよく考えて呼んでいただければ幸いです。  さて、話は全く変わりますが、本屋大賞の候補作発表されました。半分位の本は既に読んでおり、私が今まで読んだ本の中では、(成瀬は天下を取りに行く)が、最も面白かったと思います。またの機会に全作読んでで見てレビューしてみたいと思います。 ************************* ドクター畑地の診察室228.2024.2.4号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2024年1月

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