メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

週刊Life is beautiful 2024年2月6日号: Teslaの決算

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん Teslaの決算 Teslaの決算が発表され、Teslaの株が大幅に下落しました。私はTesla株の長期保有者なので、この手の短期的な乱高下は慣れており、普段は無視するのですが、今回の下げは流石に大きかったので、買い増しをしました。こんな時に株を買い増しすることを「落ちるナイフを掴むよう」と表現する人もいますが、なぜ私が長期的に強気なのかも含めて解説します。 ちなみに、決算の結果を一目で見るには、App Economy Insitesのインフォグラフィックスが素晴らしいので、是非とも活用してください。 2023年度全体で見ると、売り上げは$96.8billion、利益は$15.0billionで、2022年と比べると、どちらも19%増でした。順調に伸びているとは言え、「目覚ましい伸び」ではありません。 粗利率は18.2%で、自動車業界全体と比べると悪くはありませんが、2021年度(25.3%)、2022年度(25.6%)と比べると大きく下がっています。これは、相次ぐ値下げの影響で、ウォール・ストリートはこれを嫌っています。 トータルの販売台数は、目標を上回る181万台で、2022年と比べると38%増です。素晴らしい筋ですが、Elon Musk自身が数年前に宣言した「平均して毎年50%の伸び」には到達していません。 Teslaにとっての最大の「逆風(head wind)(ウォール・ストリートでは、こんな表現が良く使われます)」は、金利の上昇でした。金利の上昇は、ローンで購入したり、リースする人にとっては、月々の払いが増えることを意味し、それが需要に悪影響を与え、値下げを強いられることになったのです。 太陽光パネルの設置数は、2022年と比べて36%の減少(223MW)となりましたが、蓄電ビジネスの方は125%の伸び(14.7GWh)となりました。 エネルギー・ビジネスの売り上げは、$6.0billion, 2022年度と比べて54%増になり、売り上げ全体に対する比率も、4.8%から6.2%へと増えています。Elon Muskは、以前、蓄電を含めたエネルギー・ビジネスが自動車ビジネスと同等にまで成長しても不思議はないと語りましたが、それにはまだ時間がかかりそうです。 現金もしくは現金に相当する資産は、$4.36billion増えて$29billionになり、新たな工場の設置や、人工知能への投資に十分に潤沢な資金があると言える状態です。GMやフォードが電気自動車では利益を上げることが出来ず、思い切った増産に踏み切れないのと比べると、大きな違いです。 株価が下がった一番の原因は、Elon Muskが、現在はModel Yが作った波と、2025年後半から市場に投入する新しいモデルが作る波との間にあり、2024年度の成長は鈍いものになる、と宣言したことにあります。ウォール・ストリートは、短期の数字の上下に敏感に反応するため、「2025年の後半まで成長が期待できないのであれば、今は売りだ」と判断したのだと思います。 四半期ごとに成績を評価される機関投資家にとっては、18ヶ月以上も成長(=株価の上昇)が見込まれない株は、投資の対象にはしにくく、それが株の大量売却を招き、株価の大幅下落を引き起こしたのです。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 週刊 Life is beautiful
  • 「エンジニアのための経営学講座」を中心としたゼミ形式のメルマガ。世界に通用するエンジニアになるためには、今、何を勉強すべきか、どんな時間の過ごし方をすべきか。毎週火曜日発行。連載:菅首相に会って来た/米国で起業する時に知っておかねばならないこと。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎週 火曜日(年末年始を除く)