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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 215
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、中国EVが欧州市場で成功できるかについて論じたレポートをご紹介します。
BYDのドルフィン、シールの2車種のEVは、中国国内でも大きな話題になっていますが、海外でも大きな話題となっています。とにかく低価格であり、かといって品質も悪くなく、コストパフォーマンスとしては傑出したできだからです。日経ビジネスでもシールを分解して詳細な検証結果を出版しているほどです。
まったく同じ分解検証を、スイスの金融機関UBSも行いました。UBSでは、過去にテスラモデル3、フォルクスワーゲンID.3でも行っており、その詳細データから徹底的にコストを比較しています。
その結果、BYDのコストパフォーマンスがフォルクスワーゲン(VW)と比べても、さらにはテスラと比べても圧倒的に優れていることが明らかになりました。安かろう、悪かろうではありません。品質技術についてもBYDは成熟をしているとレポートには書かれています。
さらに、UBSは中国EVがどの程度海外市場でシェアを取るかを予測しました。その結果、欧州市場ではかなりのシェアを握り、ルノーやVWなどの既存のグローバルメーカーはシェアを落とすことになると予測をしました。つまり、中国EVは中国市場では支配的、欧州市場では一定のシェアを取ることになるという結論です。
自動車産業の将来は2つしかありません。ひとつはEVシフトを進めると、中国EVに蚕食されるという未来です。もうひとつはEVシフトをできるだけ引き伸ばせば、中国EVから国内メーカーを守ることはできるものの、自動車テクノロジーの進化が大きく遅れ、海外市場で売れなくなります。また、自国は国際公約となっている温室効果ガス排出規制目標を達成できなくなり、環境問題での国際的な発言力を失います。
UBSのレポートによると、このような影響を受けずに済む自動車メーカーは、高級車に特化をしたメルセデスベンツやポルシェのみということになります。
日本の中には「EVが主流になるとは限らない」といまだにそんなことを言う人もいますが、国内事情しか見えていない発言の典型です。すべての車をEVにしても、化石燃料で電気をつくっているのだから意味がないというわけですが、今どき化石燃料による発電に頼っているのは日本ぐらいで、中国でも半分以下、欧州でも4割以下になっています。あの後ろ向きの米国ですら60%程度になり、再生可能エネルギーへの転換を進めています。日本は東日本大震災に関連して、いったん(クリーン発電である)原子力発電を停止したという特殊事情があるものの、化石燃料をいまだに大量消費する遅れた国になり始めています。
また、「EVは寒冷地では使い物にならない」とも言われ、確かにパフォーマンスは低下をしますが、北欧諸国はすでに新車販売の50%以上がEVになるというEV大国になっています。この話は今回触れる余裕がありませんが、非常に学びの深い話です。要は工夫次第でEVは寒冷地でも問題なく利用できるのです。ガソリン車と同じじゃないから嫌だというのは、スマートフォンが「パソコンみたいにキーボードもないし、画面も小さいから嫌だ」と言っているのと変わりありません。
電気が究極の自動車エネルギーであるのかどうかはわからないものの、ここ10年から20年ほどの主流になることはもはや動かしようがありません。
今回は、中国EVが欧州市場を席巻する可能性を論じた、UBSの衝撃的なレポートをご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 215
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▼目次▼
BYDのEVは欧州市場で成功できるのか。スイスUBSの衝撃的なレポート
小米物語その134
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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BYDのEVは欧州市場で成功できるのか。
スイスUBSの衝撃的なレポート
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今回は中国EVが欧州市場でシェアを大きくあげると予測したUBSのレポートをご紹介します。
日本でだけEVシフトが進まないことが話題になっています。中国はEVシフトが本格的に進んで、2022年のEV化率(登録車のうちの新エネルギー車割合)はすでに25%。4台に1台がNEV(新エネルギー車)です。欧州も各国政府がガソリン車の販売に2035年という期限を設けたためEVシフトが進み17%になっています。また、最もEVに興味がなさそうに見える米国も7%にまでなっています。一方、日本はまだ1%にも達していません(新車販売の中での割合も2%代前半)。
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