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256回 中国バブルの崩壊と日本のバブル

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
日本の株価が暴騰を続け、38000円をクリアしてバブル期を越えて、史上最高値になりそうだ。4万円越えも現実味を帯びてきた。 円安で、確かに輸出関連企業は空前と言える利益を出しているし、日本株は出遅れていると言われているので、株価が上がるのはわからないわけではないが、やはり私には異常に映る。 日本の景気は決していいとは言えないし、インフレ下で実質賃金も下がっている。そして、人手不足で経済が回らないということも現実に起きている。円安のため外国人労働者が雇い負けをしているようだし、逆に日本の労働力が流出さえしている。 それ以上に、将来性という観点からみると、日本企業におよそ魅力がない。 1990年代から日本人の中学生の数学力が韓国や台湾に抜かれていたのに、さらにゆとり教育をやったおかげで、ITでは、これらの国にまったく勝てなくなった。 AIの時代がきても、バカの一つ覚えのようにDXの話になる。 ITは使い方を覚えないと使えないので、高齢者がITを使えずデジタルデバイドが生じたが、AIはやり方を覚えなくても、向こうが代わりに考えてくれるので、高齢者には向いている。たとえばAI搭載の自動運転の車なら、行き先を言うだけで、そこに連れて行ってくれる。 ところが、日本のノータリン経営者たちは、世界で一番高齢化が進み、高齢者人口も多く、いっぽうで高齢者が金を持っている国なのに、AIを高齢者に活用した画期的なものを作ろうとしない。 AI搭載で、話し相手にもなるし、料理も作れるし、掃除も介護もできるロボットなど簡単に作れるのに、やる気がないのだ。 もちろん、年寄りが事故を起こしたら免許を取り上げ、高齢者向けの車を作れという話にならない国だから、自動運転も出遅れている。中国では2023年から無人タクシーが始まっているというのに、日本では大阪万博でバスならなんとかなるというレベルのようだ。ウーバー的なものと自動運転を融合させたら、高齢者はものすごく動きやすくなるのに。 日本の経営者がバカすぎて、将来すごい会社が出てきそうにないのだ。 その上、日本の経営者はケチで従業員に金を使わないから、消費も低迷するし、優秀な人材も確保できない。上場企業が3年連続最高益というが、それが庶民に還元されず、実質賃金ベースでは賃下げが行われているという現実を考えると日本の経営者の考え方がわかる。そういう意味で日本経済に将来性が感じられない。 エネルギー政策もクズで、こんなに地震が起こっているのに、再生エネルギー化があまり進まず、原発頼りだ。 実際、円安で一人当たりのGDPは韓国や台湾に抜かれ、本当のGDPでもついにドイツに抜かれて4位に落ち込んでいる。日本の経済が好調という人がいれば、株価が高ければ経済がいいという数字の刷り込みとしか思えない。うつ病で体調もボロボロで栄養失調なのに、検査データが正常だから健康というのと同じようなものだ。 ということで、今の日本の株高が私には理解できない。 中国のバブルが崩壊したり、経済が失速しているので、日本にそのマネーが流れているという説がある。 株をやる人はモラルがないので、中国がウイグルなどでさんざん悪いことをしても株価は上がり続けたが、土地バブルが崩壊するとさっと金を引き上げるということだろう。日本でもバブルを引き起こして、利益確定して、日本人が株を買い始めたら、金を引き上げる算段なのかもしれない。 さて、中国経済が崩壊するというようなことはウヨクは昔から言ってきたことだ。 それが現実味を帯びてきたので、コテンパンに中国経済のことを叩く。今年の春節についても、コロナ前に移動者数が戻っていないのに、インチキなカウントをして粉飾しているという話になっている。日本でもかつてのような爆買いをしないのは、中国経済がダメだからという話になっている。 私も久しぶりに、「正義のミカタ」に出たのだが、高橋洋一氏も、地方の隠し負債などを考えると実態はもっと悪いというし、金融緩和をしたくてもハイパーインフレが起こってできないと論じる。 私には、本当のところはわからない。 資本主義をやりながら、統制経済もやるという矛盾が問題になっているが、不景気の処理には、統制経済的なものが必要なのかもしれない。 日本と中国は似たようなところがあって、借金は多いが外国にはほぼ金を借りていない。 日本だって、日銀が国債を買い取れば、借金が実質なくなるのだが、増税の理由にするためにそれをやらないだけの話と聞いたことがある。中国ならそれができる気がする。 ハイパーインフレが起こっても、価格統制も中国ならやるだろう。 それ以上に、先ほどの自動運転やAIの活用などでは、中国のほうが明らかに将来性がある。 バイオ技術にしても、人体実験的なことにゆるい分だけ、日本や、宗教上の規制の大きいアメリカと比べて、すごい進歩をする可能性はある。 そして、3億人の中流を抱え、海外に頼らなくても国内に巨大なマーケットがある。賃上げで中流を増やしていけば、さらにマーケットが大きくなる。貧しい国が中流の国になるというのはマーケット拡大のポテンシャルがあるということだ。 それ以上に平均年齢が38歳で日本より10歳以上若い。 それでけ、新しいものが出てくる可能性が大きいということだ。 ウヨクは統一教会の命を受け、中国や韓国がダメだダメだといって、日本人を油断させている。負けてはいけないから頑張ろうというウヨクはいない。統一教会はつくづく怖い宗教だと思う。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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