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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 216
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、アリババ傘下のフーマについて大きなニュースが報道されので、ご紹介します。
アリババが、新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)を売却するという報道がされています。売却対象としては、フーマの他に銀泰百貨、高鑫(SUN ART)傘下の大潤発(RTマート)など、アリババの新小売系事業の名前があがっています。
アリババは投資会社を設立し、このような事業の株式の管理を移管する見込みです。つまり、株券を金庫から出して財布に移したわけで、売却する準備行動にも見えるわけです。
これだけであれば、メディアによる観測記事にすぎませんが、2023年9月期の四半期報告書に付随する電話会議録の中で、ジョセフ・ツァイ会長が「非コア事業資産を現金化します」と発言をしていて、新小売の売却はほぼ確定的と見られています。
新小売は、このメルマガでも何回も扱いましたが、アリババ創業者ジャック・マーが2016年に提唱した戦略です。ジャック・マーは「純粋なECはすでに死んでいる。オンライン小売とオフライン小売は深く融合をして、すべての小売業は新小売りになっていく」と宣言をしました。
2016年には中国の労働人口=現役世代が減少に転じたため、ECにはこれ以上成長する空間が残されていない。だから、新小売だというものでした。
この戦略は成功したと言っていいかと思います。中国だけでなく、日本でもオンライン販売をしていない小売業というのはほぼなくなり、O2O(Online to Offline)からOMO(Online Merge with Offline)が進みました。中国の都市部では、オンラインで注文をすると店頭在庫を30分ほどで配達してくれる即時小売も広がりました。
つまり、ジャック・マーの未来予測は正しく、その通りになっています。フーマも業績は好調ですし、銀泰百貨も他の百貨店が売上を減少させていく中で、唯一と言っていいほど成長をしています。
では、なぜアリババはそんな新小売の売却を考えているのでしょうか。そこには新小売というビジネスの限界が関係をしています。
今回は、アリババはなぜ新小売戦略を放棄するのか、その理由をご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 216
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▼目次▼
アリババが新小売事業を売却か?業績好調な新小売を売却する理由とは
小米物語その135
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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アリババが新小売事業を売却か?
業績好調な新小売を売却する理由とは
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今回は、アリババの新小売事業売却についてご紹介します。
アリババが、新小売系事業である新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)、新小売百貨店「銀泰百貨」(インタイ、Intime)、スーパー「大潤発」(ダールンファー、RTマート)などを売却するという報道が続いています。これが事実だとすれば、アリババは、2016年以来推し進めてきた新小売戦略を放棄することになります。
アリババは昨年3月に大きな組織改革を行いました。分社化をして「1+6+N」体制にするというものです。主要6事業、その他の事業(N)をすべて分社化し、ホールディングカンパニー(1)の下で、それぞれが株式公開を目指します。フーマなどの新小売系事業はNに属しています。
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