ドクター畑地の診察室230 .2024.2.18.
現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です 。
世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信!
https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/
三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる
松阪市民病院院長
診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当
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バレンタインdayに思う
私にとってバレンタインdayは楽しみでもあり、苦痛でもあるイベントだった。毎年毎年、おそらくダンボール箱2箱くらいのチョコレートをいただき、3/14にはそのお返しをするために数十個お返しの品を用意するのが恒例だったからだ。
このお返しの品、なかなか選ぶのが大変で毎年頭を悩ませた。どのようなチョコをもらっても、お返しに格差があってはいけないこと、また、例えば部署単位でくれたチョコには、どのようなお返しをすべきかなど、頭を悩ませることが多く、人と違ったお返しをしたかった私は、ある年は全員に寿司の出前をとってみたり、またある年は花束、ある年は感動した書籍を手渡すこともあった。3/14が近づくにつれ、お返しのために頭を悩ませ、お返しに使わなければいけない小遣いを捻出し、そしてお返しを全員に渡し終えた後の開放感、面倒であり、出費も嵩んだが、それはそれで楽しみで、私の中では早春の風物詩でもあった。
しかしながら、最近はどうだろうか、年々もらうチョコが減少し、本年に至っては初の10個割れとなってしまった訳である。(2/16時点9個)個人個人が義理チョコを送っていた時代→義理チョコは個人で送るのは申し合わせて禁止、部署で一つ送ることにする→もう部署でも義理チョコを送らなくするとまあ、こんな風にチョコが減ってきたわけだ。お返しの悩みは少なくなったが、なんとも寂しいことである。
これは自分だけか、考えてみるとそうではないような気がする。毎年毎年、義理チョコを渡すような習慣が、日本から消え去っているような気がする訳である。自分が15歳くらいまでは、チョコといえば、本命にしか渡さない貴重なものだった。それが30年ほど前から、日本社会全体が義理チョコを渡すムーブメントに突入して、職場単位で、あるいは生活空間単位で義理チョコを渡し、お返しをする風土が発生した。思えば、その頃は日本中バブル景気に浮かれ、派手なイベントが好まれた。しかしながら、今はどうだろう。職場単位でみんなで申し合わせ、義理チョコは送らないようにしているところが多く、禁を破って送った人がいたら、申し合わせを破ったものとして、白眼視されるようになってきたのではないかと考える訳である。なんとも寂しい限り。
みんなが義理チョコを送れば送り、送らなければ送らないような、日本風の同調圧力は大嫌いである。送るも送らないも、お返しするもしないも、個人の自由ではないか。集団で、申し合わせして、統一するような風土は、ビジネスならば闇カルテルであり、もっと個人の自由を尊重しなければいけないような気がする。
10年ほど前、その時の僕の上司であった某医師が、チョコのお返しは内科医局でまとめてしますと言い出した時、大反対して勝手に自分は別にしていたこともあった。色々な考え方もあろうと思うが、自分は味気ない、余裕がない社会は嫌いな訳である。
このような習慣が廃れてきた理由の一つは、日本全体に余裕がなくなってきたのかもしれない。日常生活に追われ、金銭的にも、時間的にも、そのようなことをする余裕がなくなってきたのか?年々年賀はがきを出す人が減少し、年末の苦痛でもあり、楽しみでもあった年賀状のイベントがなくなる、バレンタインdayの義理チョコのイベントがなくなる、高齢化が進み、衰退する日本において、今こそこんなイベントをパーっとやって盛り上げなければいけないような気がするのは、僕だけなのか。
さて、今年のお返しは、同調圧力にもめげずにチョコをくれた人たちには、いつもよりパッとしたお返しをしたいと考えている次第である。
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ドクター畑地の診察室230.2024.2.18号
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畑地 治
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