ヒント:不動産業界でDXに取り組んでいる企業割合は、特にDXの取り組みが進んでいる業界と比べると、半分程度という傾向があります。
今回は、2024年1月24日に、東京証券取引所グロース市場への新規上場が承認されたCocoliveを見ていきます。
Cocoliveは、楽天トラベルの元代表取締役である山本考伸氏が2017年1月に創業し、住宅・不動産業界(不動産取引業)の事業者向けのSaaSで自動マーケティング・営業支援ツール「KASIKA」を開発・運用しています。
自動マーケティングツールというと、Salesforce、Hubspot、KARTEなどが存在感がありますが、KASIKAは住宅・不動産業界という領域特化で成長しています。
またCocoliveは、直近のFY2023(2022年6月〜2023年5月)の業績で既に黒字化しています。SasS企業で上場時に黒字を実現したのは2021年10月に上場したCINC以来となっています。
今回の記事では、前半にCocolive創業の背景・KASIKAの開発ストーリーを解説し、記事の後半では、KASIKAの概要の解説をした上で、Cocoliveの業績やKASIKAが堅実に成長している理由等を考察していきます。
楽天トラベルの元社長が創業
Cocoliveは、楽天トラベルの元代表取締役である山本考伸氏によって、2017年1月に創業されました。
創業者である山本氏は、エクスペディアの日本語サービスの立ち上げ、トリップアドバイザーの代表取締役としてもtripadvisor.jpの立ち上げ等に携わった経歴があり、旅行業界のプロダクトやマーケティングのエキスパートです。
山本氏は、Cocolive創業前に勤めていた楽天トラベルで「予約ではなく、出会いのプラットフォームとして宿泊先を紹介できる」をコンセプトに、サービス運営をしていました。
Cocoliveの創業直前のタイミングである2016年、山本氏が41歳の時に自身のキャリアの経験と相性を考えた際に、以下のようなことを考え、不動産業界へのチャレンジと創業を決意しました。
旅行時のホテル探しは重要だけれど、これは数泊の話。もっと長く付き合う、家はより大事なのではと思ったんですね。このもっとも長く付き合うであろう「住」の世界において、一番いいものに出会えるようサポートしたいと考えたのが、Cocolive立ち上げのきっかけです。
(引用)営業力を上げるCocolive「KASIKA」が不動産業界の”当たり前”を変える
創業直後のCocoliveでは、楽天トラベルを参考にし、不動産会社の自社サイトの分析をできるツールを開発していました。
しかし、Cocoliveがサービス提供を開始してみると、不動産会社の中には、自社サイトに物件情報の掲載をしておらず、消費者は物件チラシや営業からメール等で添付されたPDFファイル経由が物件情報を見ている場合も数多くあることが分かりました。
加えて、不動産会社の自社サイトも、消費者がほとんど閲覧していないことが多いことも分かり、Cocoliveが当時提供していたサービスは、一部の自社サイトへの集客に成功している不動産会社しか使えないことが見えてきます。
そのため、Cocoliveは、不動産会社のマーケティング業務を自動化できるようにサービスをリニューアルし、現在のCocoliveが開発・運営している自動マーケティング・営業支援ツール「KASIKA(可視化)」のサービスの形に至ります。
ここまでは、Cocolive創業の背景とKASIKAの開発ストーリーを解説してきました。
ここから記事の後半では、KASIKAの概要の解説をした上で、Cocoliveの業績やKASIKAが堅実に成長している理由等を考察していきます。
この記事は、不動産業界に従事している方やDX推進に関心がある方に最適な内容になっています。
Q. 不動産MAツール「KASIKA」運営のCocoliveが黒字上場できた理由とは?の答え
DXの取り組みが進んでいる業界と比べると、不動産会社はDXが進んでいない傾向があるが、KASIKAはそうした企業でも導入・利用しやすいプロダクトや顧客のサポート体制を構築した上で、コスト面でも導入ハードルを下げる設計をしているため
それでは、KASIKAの概要を見ていきましょう。
KASIKAとは?
KISIKAは、主に工務店・ハウスメーカー、不動産売買仲介業者、分譲マンション事業者等の住宅・不動産業界(不動産取引業)の事業者向けの自動マーケティング・営業支援ツールです。
まずは、KISIKAのニーズの背景から見ていきます。
住宅の購入は、消費者にとっては大きなライフイベントであり、経済的にも大きな支出が発生します。
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