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プレイガイドジャーナル1981年 より

橘川幸夫の時代分析と質問箱
編集長は代わった方がいい 橘川−講談社の内田勝さん(ホットドッグプレス編集長)がね、四、五年前、俺と渋谷陽一(ロッキング・オン編集長)と会ったんだよね。その時、渋谷が結婚する時だったんだよね。で、読者なんだよね、結婚の相手ってのが。読者で投稿者で。で、内田さんびっくりしたわけ。読者と編集者が結婚するってのは、今までの編集者の常識じゃないって。要するにプライベートなわけじゃない。 村上−執筆者っていうのとは違うもんね。 今の大学に入るってことが踏み絵みたいなもんじゃない 橘川−やっぱり世界が違うわけじゃない、読者と。作り手と送り手はさ。ところが「ロッキング・オン」はそうじゃなかったからね。友達になる人はなっちゃうしね。作り手も送り手も関係ないわけ。普通の同じレベルで僕らはつきあってるつもりなわけ。そういう面でみてのメディアみたいなの目ざしてたし。だから読者ってのは数としてはワカンナイわけね。何万人読者って言ったってイメージない。岐阜のなんとかさんとかそういうイメージしかないわけ。「ポンプ」ってのは、そういうのをなんとか目に見えるものにしてきたわけ。読者をね。 村上−そうね、読者とのそういう関係自体を雑誌にしてしまったって感じよね。 橘川−あれは編集者が読者を見たい雑誌なんだよね。だから、あれ時代が違うと多分全然違う物になっちゃうんだよね。60年代の最後にああいう雑誌があったとしたら、それはまた全然違う雑誌になってたろうし、70年の初めだったらまた雰囲気が違ってくるんではないかと。その時代に一番合ったような、読者と編集者の関係が出てくるんじゃないかと思うね。 村上−それをね、三年経ったところで、もうひとつ変えたいというか、橘川君が編集長を今度やめるっていうのは行き詰ってるというわけでもないの? 橘川−あの雑誌は赤字を出したこともないし、行き詰まってないんだけど、行き詰まってるといえば僕自身のね、ガマンがあれなんで。編集長ってのは責任あるでしょ。読者に応えていくってとことかね。本当はもっと無責任でいたいんだよね。「ポンプ」ってのは、ずうっとこれから僕が一生懸命やっていって、それでなんとかなるとはちっとも思わないわけで、あれはもっとあっちこっちの出版社がマネしてね、色々作ってもらえばいいと思うんだけど。 村上−「プレイガイドジャーナル」もわりと編集長がしょっちゅう代わるんだけど。十年やってるからさ。僕が5代目になるわけね。二、三年に一回代わるというサイクルというかね。 橘川−健全だよ。 村上−普通、編集長ってあまり代わんないじゃない。事件があって代わるとか、もっと偉くなって代わるというのもあるけど…。 橘川−何で代わるのかね。飽きちゃうのかな。 村上−んー。 橘川−飽きちゃうってのあるよ、俺飽きたもん。情報誌ってのは飽きちゃうんだよ。 村上−それとやっぱりさっき言ったように、変えたいけど自分がやったんじゃ変えられないという。

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  • 橘川幸夫の時代分析と質問箱
  • 「ロッキング・オン」「ポンプ」など1970年代から参加型メディア一筋の活動家としてメディアの渦中で生きてきました。その体験と実感からの視点で、さまざまな事件や現象について、自分なりの視点で分析していきたいと思います。また、読者の皆様からの質問にもお答えします。一緒に、新しい社会のあり方を模索していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
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