■夢がなくてもうまくいく
夢を持ち、計画を立て、一歩一歩クリアしていけば、必ず実現する
という考えが正論のように浸透している。誰もが他に成功する方法
などないと思い込んでいる。だが、それは間違いだ。
たしかに、やりたいことさえ見つかれば、それを実現する方法に関
する情報はいくらでもある。昔のように身分差別があるわけでも、
「こうすべきだ」という昭和の価値観もない。
だが、その手前にある「そもそも、自分は何がしたいのか」という
問いに対する答えを持てずにいる。夢を持てない人が増えているの
だ。だから、多くの人が、今を漂うように生きているのだ。
そんな状態で「夢を持て」という強迫観念に迫られて、無理やり自
分のやりがいを探したり、見せかけの夢を準備して、適当にその場
をやり過ごしている。これは不毛なことだ。
★
夢などなくてもうまくいく。むしろ、中途半端な夢など持たないほ
うがいい。それよりも大事なことは、自分が「何のために働いてい
るのか」を明確にするとことだ。
そして、目の前にある課題をクリアしていくことだ。未来の夢やビ
ジョンを持つことより「今、ここ、目の前」が大切だ。本気で仕事
に向き合っていたら、夢を語る暇などないはずだ。
「5W1H」というが、働く時に一番注目すべきは「なぜ」の部分
だ。「なぜ」が見えてくれば、霧が晴れるように悩みは解決してい
くものだ。
優秀なリーダーや教育者は「なぜ」を一番に伝え、考えさせてい
くものだ。だから、下の立場の人間は命令されなくても、自発的に
動くようになるのだ。人は無意識に意味を求めているのだ。
★
人は、夢など無くても生きていける。だが、自分の存在意義、生き
る意味が無くなれば、生きていくことはできない。意味とはそれく
らい強烈なものなのだ。
すべては「なぜ」からだ。動くモチベーションの正体は「なぜ」な
のだ。これさえ見えれば、夢などなくても勝手に前に進むことがで
きる。目の前のことに意味が見えた途端、やる気になれるのだ。
入社面接で面接官が口にするのも「なぜ、この会社を志望するか」
のはずだ。「なぜ」がモチベーションの正体だからだ。意味さえ見
えれば、人は動くのだ。
★
「好きなことを仕事にしたい」というが、最初から好きなことを仕
事にできる人はいない。順番が違うからだ。まず、今の仕事を好き
になること、次に仕事に好かれる人になることだ。
仕事に好かれた時、はじめて好きなことを仕事にできるようになる
のだ。いきなり自分が好きなことをしようとしてもうまくいかな
い。無理があるのだ。
働くとは「はたを楽にすること」だ。人に仕え、周りの人を楽にす
ることだ。「好き」かどうかより「頼まれたこと」「人を楽にする
こと」をやることだ。自分より、相手を先に置くべきなのだ。
そのためには、目の前の仕事を突き詰めることだ。仕事の魅力は、
一生懸命やらないとわからないものだ。仕事を好きになれない人
は、仕事を一生懸命やったことがない人だ。
一生懸命やって面白さが見えてくれば、頼まれごとも増えてくるは
ずだ。それが「仕事に好かれる」ということだ。そうなってはじめ
て、自分が好きなことをやってもうまくいくようになるのだ。
とは言え、自分を犠牲にするのはダメだ。そんなことをしても続か
ない。結果的に投げ出してしまえば、お客様を喜ばせ続けることは
できない。自分も幸せになるべきなのだ。
仕事を楽しむには、成長を実感することだ。人は、できなかったこ
とができるようになると大きな喜びを感じる。こうして目の前の課
題や壁を超えるワクワク感の虜になることが大事なのだ。
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