■優しい人は、なぜ人生がうまくいくのか?
自分は優しい人かと聞かれて「はい」と即答できる人は少ない。誰
もが「人には優しくありたい」と思いながら、振り返ると意外に優
しくない自分に気づかされる。
人に優しくするには、様々な心理や感情が働くものだ。思いやりや
行為の気持ちだけでなく、打算や自己防衛といった損得勘定が働く
こともある。
嫌われたくないために表面的な言葉で取り繕う優しさもあるし、嫌
われることを覚悟で進言する優しさもある。価値観や考え方が多様
な現代では、何が本当の優しさなのかハッキリわからない状態だ。
★
優しいと感じる人は、見返りを期待しない、人に敬意を払って接す
る、相手の気持ちを想像できる、相手によって態度を変えない、人
の幸せを一緒に喜ぶことができるなどの特徴がある。
また、人に優しい人は、自分にも優しいものだ。自分にできないこ
とを断る勇気も持っているのだ。自分を犠牲にしても長続きしない
ことを知っている。だから、常に優しい人でいられるのだ。
さらに、人に優しくできる人はメンタルが安定している。心身のコ
ンディションが整っていなければ、人に優しくすることなどできな
いからだ。
人に優しくすれば、自分の気持ちも良くなる。脳内にセロトニンや
オキシトシン、ドーパミンなどの神経伝達物質が分泌される。だか
ら心身にいい影響が生まれることが科学的に明らかになっている。
また、優しい人には、居心地のいいひとが集まる。だから、周囲の
人たちからいつも優しく接してもらえるし、信頼もされる。結果、
ストレスが軽減され、メンタルが安定するなど好循環が生まれる。
★
世の中全体がギスギスしているから、どうしても自分中心になり、
周囲を慮る精神的ゆとりを見失いがちだ。だからこそ、優しさとは
何かを考え、見つめ直す必要がある。
人に親切にしたのに、相手の反応が良くなかったということがあ
る。一度でもこんな思いをすると、後味が悪いだけでなく、相手に
対する気遣いを後悔する気持ちさえ生まれる。
人に優しくしても、損するだけだと思ってしまうと、人が困ってい
ても見て見ぬふりをしたり、気づかぬふりをして、そうした場面を
避けるようになる。やがて冷たい人だと思われるようになる。
そうなってしまうのは、人に優しくすることに見返りを求めている
からだ。相手のため、と思って何かをしてあげながら、密かに感謝
されることを期待しているのだ。
こうした受け止め方は日本人特有の感覚だ。「ギブ・アンド・テイ
ク」という言葉があるように、欧米人は「ギブしなければ、テイク
はない」と考えている。
独りよがりを回避して、自分の感情を安定させるには、視点を変え
てみることだ。人に優しくすることは、本来気分のいいものなの
だ。ポイントは、自己満足して終わりにすることだ。
★
優しい人は、相手を人として尊重し敬意を払っている。年齢に関係
なく、人を人として尊重して気配りしている。自分ならこうしても
らったら嬉しいと思うことを損得勘定抜きに自発的に行動に移す。
「情けは人のためならず」と言う。人に対する情けは、相手のため
ではなく、巡り巡って自分のためになるという意味だ。この言葉は
人に優しくすることの核心を教えてくれる。
人間の心理には返報性の法則という原理がある。人から優しくされ
たら、お返しをしたいと感じる心理のことだ。誰でも助けてもらっ
たら、次は自分が相手を助けてあげたいと思うはずだ。
そうでなくても、いずれ自分にも返ってくるのだ。そう考えれば、
優しくした相手に見返りなど求めず、自分が満足するだけで終わり
にしておけばいいと思えるはずだ。
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