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vol.217:中国主要テック企業18社の現在。脱コロナから平常運転に戻るのに必要なこととは?

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2024/02/26
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 217 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、2023年の主要テック企業の現状についてまとめます。 今、中国のテック企業について、株価の下落やリストラ、企業価値の大幅減というネガティブな報道が続いています。そこから、「中国のIT産業はもはや終わった」とすら考えてしまう方もいるかもしれません。 しかし、コロナ禍に入って、テック企業の企業価値が大幅に膨らんだことを忘れてはいけません。コロナ禍では、飲食店、旅行業などの現業系が大打撃を受けました。しかし、人々は生活をしていかなければなりません。そこで、人と接触をする必要がないECやデリバリーの利用が進みました。人と会うのもオンラインになり、仕事もテレワークになりと、オンラインの利用機会が大幅に増えました。 これにより、テック企業の業績があがり、投資資金もテック企業に流れ込むことになったのです。いわば、コロナ特需でした。 2023年はコロナ禍が終息をし、このコロナ特需がなくなりました。そこで、テック企業の株価は、調整局面に入っているのです。ですので、コロナ禍のピーク時と比べれば大幅下落ですが、コロナ前の2019年と比較をすれば、上昇している企業も多いのです。 問題は、コロナ以降の成長戦略が描けているかで、こちらの方が大きな問題です。明確な成長戦略が描けているのは、拼多多と網易ぐらいしか見当たりません。その他のテック企業は、次の成長戦略を描くために組織構造の改革をしている状況です。 今回は、2023年のテック企業の状況をまとめ、2024年がどのような年になるかをご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 217 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ 中国主要テック企業18社の現在。脱コロナから平常運転に戻るのに必要なこととは? 小米物語その136 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 中国主要テック企業18社の現在。 脱コロナから平常運転に戻るのに必要なこととは? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、中国のテック企業の現状についてご紹介します。 調査会社「胡潤」(フールン、https://www.hurun.net/)は、中国の長者番付を毎年発表していることで有名ですが、「中国企業500強」を発表することでも有名です。この企業ランキングを見ると、上位10位のうちのほとんどがテック企業またはネット企業です。具体的にはテンセント(2位)、アリババ(3位)、バイトダンス(4位)、ファーウェイ(5位)、美団(7位)、アントグループ(8位)となります。中国は、台湾は中国の一部という主張であるため、1位は台湾の積体電路製造(TSMC)ですので、非テック企業は寧徳時代(CATL、6位)、BYD(9位)、平安保険(10位)の3社だけになります。と言っても、寧徳時代はEV用のバッテリーメーカーであり、BYDはバッテリーから自動車まで製造するメーカーです。平安保険は中国のフィンテックをリードする企業です。つまり、テック企業の定義にもよりますが、テクノロジー志向の企業が上位を占めていることになります。この状況を見れば、多くの学生が理系を専攻しようと思うのも当然です。 このようなテック企業は、このメルマガではたびたび登場し、読者のみなさんも名前はよく耳にしているかと思います。しかし、どのような企業であるかは意外にわかりづらいものです。というのは、中国の企業の特徴として、ひとつの事業があたるとそれをコア事業にして展開をしていくため、どのテック企業も現在では幅広い事業を手掛けるようになるからです。 例えば、アリババは淘宝網(タオバオ)というECからスタートをして、それと関連がある決済システム「アリペイ」が大きなビジネスになりました。また、膨大なトランザクションを処理するためにクラウド事業も大きくなっています。ECの関連で、今では白菜などの生鮮食料品も扱い、映画のチケットや旅行商品なども扱うようになり、生活関連の電子版総合百貨店のようになっています。アリババの今の事業だけをみてしまうと、広大な事業ドメインを持っている大企業に見えてしまいます。 しかし、アリババのコア事業はECとクラウドの2つです。前回の「vol.216:アリババが新小売事業を売却か?業績好調な新小売を売却する理由とは」でもご紹介したように、非コア事業の売却を検討するようになっています。もう一度、原点の姿に戻って身軽になろうとしているのです。これはアリババだけのことではなく、今テック企業の多くで原点回帰が大きなキーワードになっています。 テック企業を理解するには、今現在の姿だけではなく、原点は何なのか、コア事業とは何なのか、その企業の本質とは何なのかをイメージしておくことが重要になります。 そこで、今回は主要テック企業の2023年の状況をご紹介するとともに、その企業のコアとは何かという視点でもご紹介をしていきたいと思います。

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