すでに、米国の著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは、2月24日に恒例の「株主への手紙」を公表し、米国内外の株式相場の高騰を 「カジノ的」 と表現し警鐘を鳴らしています。
そして、魅力的な新規投資機会は乏しいため、バークシャーの投資待機資金は過去最高水準に積み上がっていることを表明しているのです。
バフェット氏いわく「有意な変化をもたらしうる投資先企業は、米国にごくわずかしか残っていない」と狂奔する株式市場への冷静な見解を披露し、次の収益機会は「危機の再来」と見越して待ち構える態度を示しているのです。
間近に迫る「カタスロフ(破滅的大惨事)」を予測しているかのような不気味な物言いなのです。
すなわち、超低金利だからといって、これから借金を膨らませて、不動産投資の規模の拡大を図る──などというのは、もう遅いでしょう。
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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる
第88回(2024年3月4日号)
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みなさま、こんにちは!
「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。
さて今回は、「超低金利の30年間でお金持ちになったサラリーマンのアパマン大家と出口に到達できない過大リスクのアパマン失敗大家の顕在化!」というテーマでお届けしたいと思います。
これから、老後資金の確保を見据えて、不動産投資に乗り出そうと考えている人は、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
日本で低金利政策が始まったのは、バブル崩壊後の1990年代の後半からです。バブル崩壊の後遺症で金融が目詰まりを起こしてきたからでした。
1993年9月に当時の公定歩合2・25%を、1・75%とし、さらに95年4月には1・75%から1%に引き下げます。そして同年9月には0・5%にしたのです(当時の公定歩合とは、日銀の市中銀行への貸し出し金利)。
次いで、97年の金融危機を迎えたのち、98年9月には政策金利を0・25%に引き下げています。
ここからが、もはや「超低金利」といってよいレベルなのです(政策金利とは、短期金融市場の「無担保コール翌日物金利で別名オーバーナイト物のことを指しており、これが金融政策の目標値となり現在に至っています)。
こののち多少の変動を経て、政策金利は0%台が続きます。
こうして、2006年からは「ゼロ金利」が常態化して、今日に至るのでした。
結局、この超低金利時代は、かれこれ今日まで実質30年にもおよぶ長年月となって続いてきたのでした。
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超低金利の30年間でお金持ちになったサラリーマンのアパマン大家と出口に到達できない過大リスクのアパマン失敗大家の顕在化!
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その結果、何が起こったのでしょうか。
当時から続く「超低金利」を活かして、不動産に対する「レバレッジ投資」の最大化が試みられるようになったのです。
日銀の政策金利の低下は、公定歩合と同様に、市中の金融機関の貸し出し金利にも影響して、引き下げに向かわせますから、住宅ローン金利をはじめ、金融機関の貸し出し金利は軒並み低空飛行となったのでした。
ちなみに、レバレッジとは「てこの原理」であり、小さな力でも大きな力をもたらすことを意味します。すなわち少ない自己資金しかなくても、低金利の借金で膨らませた「大きな軍資金」とすることで、不動産投資に活用できることをいいます。
つまり、資金の乏しいサラリーマンでも、レバレッジ(借金)の最大化によって不動産投資に乗り出すことで、打ち出の小づちのようにキャッシュフローが生み出せる状況が到来したのでした。
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かつてのサラリーマン大家は「逆ざや」での不動産投資が当たり前の時代だった!
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かつて、80年代後半のバブル期より以前の時代は、サラリーマンが不動産投資を行うには、非常に厳しい制約がありました。
マンションやアパートといった不動産にローンを使って、投資を行おうとするにも、年間のローン返済額のほうが家賃収入のほうよりも大きかったからです。
不動産投資で得られる収益の利回りが2%~3%に対して、不動産投資ローンの金利が7~10%と高く、逆ザヤが生じる状況だったからです。それでも、これが当時の当たり前でした。
ゆえに、バブル期以前の、高度経済成長期(1955年~73年)に、マイホーム取得のための住宅ローンは別として、不動産投資ローンを活用して不動産投資を行う人は、非常に少なかったという状況がありました。
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次回は、 「日本を低賃金国にしてきた自民党と経団連が、今度は企業が賃上げすれば減税してもらえるという『泥棒に追い銭』の末期的政策の笑止千万!」 というテーマでお届けしたいと思います。
巷でよく聞く「日本の労働生産性が低い」というのは、単なる数字のトリックでしかない──というところから、これまでの日本の低賃金労働政策の深い闇をえぐっていきたいと思います。
自民党とその献金スポンサーである経団連が、いかに手前味噌で自分たちの目先の利益ばかりを追い求め、日本の20年先、30年先の国家の大計を考えずに怠ってきたのか──その悪質性も併せて暴いていきます。
次回をどうぞご期待くださいませ。
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