【不安の信者】
「お前は何でそんなに不安を信じているの?」
ある時、ユキオにいきなり突っ込まれて戸惑ってしまった。
「えっ?何の話ですか?今は何も不安なことはないんですけど」
ユキオはいつもそうである。
突拍子もない事を言うのでみつおはフリーズしてしまうのだった。
「お前は人生自体が不安だろ、いつも不安を避けるために何かをしているんじゃないのか?」
「まぁ、確かに不安は多いですけど、毎日が不安というわけではないですよ」
「でも不安な事はあるんだろ?」
「そりゃ、月末になると家賃の心配はありますけど…」
「だから話てるんだよ、お前は月末には必ず心配になるんだろ?」
「そうですね、今は会社員じゃないので、便利屋の仕事がないと家賃も払えないんですよ」
「だから不安なのか?」
「あっ、はい、便利屋の仕事は不安定なので不安ですね」
「家一軒くらいは稼げるとは思えないのか?」
「そりゃ思えませんよ。この商売では限度がありますよ」
「だから不安を信じているのか?」
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