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第252号 インバウン丼と観光業界のドン/きっこのラジオライフ/磯巾着/UFOが飛べば磯巾着に着地?

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  • 2024/02/28
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「インバウン丼と観光業界のドン」 東京の豊洲市場にある商業施設「豊洲 千客万来」で、海外からの観光客をターゲットにして売り出された豪華な海鮮丼、その名も「インバウン丼」が、1杯6980円という法外な価格なのにも関わらず、報道によれば「飛ぶように売れている」そうです。マグロ、イクラ、ウニ、エビ、ホタテなどの新鮮な海鮮が乗った丼ですが、画像を見る限り、そこらの店で2500~3000円くらいで食べられそうな内容で、日本人の感覚だと完全に相場の2倍以上の価格です。 もちろん注文する客は、ほぼ100パーが外国人観光客だそうですが、実際に「インバウン丼」を食べた欧米人によると、大満足な様子で「これなら2万円でも高くない」と言ったそうです。海鮮丼1杯か2万円だなんて、日本人なら、たとえ富裕層でも「はぁ?」って言いそうな話ですし、こんな値段でも普通に食べられるのは、裏金をポケットに入れようが脱税しようが何のオトガメもなしの厚顔無恥な自民党議員くらいでしょう。 ま、それは置いといて、民主党政権時代には1ドル80円台だった米ドルが今や150円、わずか13年で円の価値が約半分になってしまったのです。ユーロも、1ユーロ100円前後だったものが今や160円台。米ドルほどではないにしろ、これまで日本で1万円だった商品が6000円ちょいで買えるのですから、そりゃあ安く感じるでしょう。 その上、これは前々号のこのコーナーの「ビッグマックが買えなくなる日」に書きましたが、日米の賃金差です。同じトヨタの期間工でも、日本の工場で働くと時給1300円、アメリカの工場で働くと時給5200円、日本の賃金は何とアメリカの4分の1なのです。アメリカでは日本と同じ労働で4倍もの賃金が支払われている上、その給料を持って日本へ行ってドルを円に替えれば、12年前の2倍の価値に跳ね上がるのです。 一方、日本で働いて日本に納税しているあたしたちは、12年前から賃金などほとんど上がっていません。それどころか、物価上昇に追い抜かれて実質賃金は21カ月連続で絶賛マイナス中です。つまり、あたしたちの金銭感覚は12年前より後退しているのです。だから、1杯6980円の「インバウン丼」を「法外な価格」と感じるわけですが、あたしたちの4倍の賃金を貰い、日本に来たことでさらに倍のドン!‥‥と、もはや「スーパーひとし君」もビックリの「日本人の約8倍」のフトコロ事情となったアメリカからの観光客にとっては、6980円など1000円弱の感覚なのです。 ‥‥そんなわけで、日本人が好景気の時にやっていたように、自国より貧しい国へ行き、貨幣価値の差と物価の差を利用して豪遊するというのは良くある話ですし、その国の人たちがそういう外国人観光客をターゲットにしてボッタクリビジネスを展開するというのも良くある話です。現地の人たちは誰も買わない法外な値段でも、支払う側が納得していれば成り立つわけです。そして、裕福な外国人観光客は満足し、貧しい国の人たちもドカンと儲かる。双方に利益があるのですから、何も問題ありません。 しかし、いくら裕福な外国人観光客をターゲットにすると言っても、モノには限度があります。もしも「インバウン丼」が1杯10万円だったとしたら、さすがに誰も注文などしないでしょう。この1杯6980円という価格は「日本人から見たら高いが欧米人から見たら訂正価格」という絶妙なラインを攻めているのです。 そう言った意味では、なかなか良く考えられていますし、この「インバウン丼」という恥ずかしすぎるネーミングにしても「これは外国人観光客用ですよ」という暗黙のアピールであって、日本人からの「何でこんなに高いんだ!」というイチャモンを回避するための好プレーだと思います。 ‥‥そんなわけで、「モノには限度」という話ですが、2月25日付の報道によると、栃木県が外国人観光客の富裕層をターゲットにして、昨年10月に売り出した「1人400万円の奥日光ツアー」が、販売期限の今年1月末までに、1件も申し込みがなくて大失敗に終わったそうです。 その内容は、成田空港などから奥日光にヘリコプターで直行し、高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン日光」に宿泊し、ガイド付きで日光東照宮や造り酒屋などを見学し、旧イタリア大使館の別荘でディナーを楽しみ、帰りも都内などにヘリコプターで送ってくれるという2泊3日のプランでした。 内容を聞けば「それなりにゴージャス」とは思いますが、これに1人400万円払う日本人は1人もいないでしょう。それに、こんなツアーに1人で参加する人などいないので、最低でも恋人同士や夫婦での参加ですから800万円です。つーか、そもそもの話として、最初は12月末が販売期限でしたが、それまでに1件も申し込みがなかったため、価格を400万円から一気に290万円に値下げして、期限も1月末まで延長したのに、それでも1件も申し込みがなかったのです。 栃木県の福田富一知事は、1月24日の定例会見で反省の弁を述べましたが、1件も申し込みがなかった原因について、こともあろうに「周知不足だった」と述べたのです。さすがは自民党に所属する県知事ですね。絶対に自分の非を認めず、常に何かのせい、誰かのせいにするのです。こんなボッタクリ企画、いくら宣伝したって誰も申し込みませんよね。 で、こんなバカバカしい話題をどうしてあたしが取り上げたのかと言うと、ここからがシャレにならない話なのですが、この大失敗した計画の事業費1500万円の全額が、国庫から搬出されていたのです。 旅行代理店の全国組織「全国旅行業協会」の会長を長年つとめる自民党の二階俊博氏は「観光業界のドン」と呼ばれ、安倍政権下では新型コロナの感染が拡大する中「Go To トラベル」を前倒しさせましたし、菅政権下でも新型コロナ禍での「Go To トラベル」を強行させました。 そして昨年は、強引に新型コロナを2類から5類へ移行させ、それと並行して「国の観光再始動事業」を推進しました。各都道府県が事業主となる観光プランを提出させ、国が採択して事業費用の全額を国庫から搬出するというバラ撒き政策です。そして、栃木県は昨年の一般会計補正予算に「1人400万円の奥日光ツアー」の事業費1500万円を計上し、国はこれを採択して1500万円全額を国庫から搬出した、つまり、あたしたち国民の税金から支払ったというわけです。 二階俊博氏の書籍代3500万円や萩生田光一氏の引き出しの裏金2700万円などと比べると、1500万円など小額に思えてしまいますが、それでもあたしたち国民が一生懸命に納めて来た税金の一部なのです。鈴木俊一財務大臣によれば、自民党の裏金議員たちの納税は「個人の判断」で決められるそうですが、あたしたち国民にそんな特権はありません。どんなに生活が苦しくても、納税は国民の義務なのです。 どう考えても1人も申し込みなどして来ないようなバカバカしい高額ツアーなどにポンと1500万円を搬出し、事業に失敗しても特に何もなしって、自民党政権はふざけるのもタイガイにしてほしいです。そして、この1500万円は、あくまでも氷山の一角なのです。先ほども触れたように、安倍政権下でも菅政権下でも、自民党を裏で牛耳る二階俊博氏の鶴の一声によって、国民の大切な税金が二階氏のスポンサーである旅行業界のために、湯水のごとくバラ撒かれて来たのです。

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