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日台「半導体連合」、日本が旧世代チップで世界供給基地へ 中国台頭を牽制

勝又壽良の経済時評
  • 2024/02/29
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TSMC熊本工場が布石 九州で設備投資ブームへ 世界で激しい陣取り合戦 韓国半導体は迷子になる 世の中の巡り合わせは、不思議なものである。好循環が始まる段階になると、予想もしなかったことが同時に押し寄せてくる。現在の日本経済は、こうした予期せざる「幸運」が重なり合っている。だが、悪循環過程へ嵌まり込むと、全てが逆風にさらされる。日本経済は、この両過程を経験しつつある。 日本半導体は、1980年代半ばに世界シェア50%強を握る「絶対王者」であった。それが、日米半導体摩擦に巻き込まれこと。バブル経済が、崩壊して企業体力の衰弱と急激な円高に翻弄されたこと。こうした事情によって、現在の日本半導体シェアは、10%にとどまっている。だが、米中対立という国際情勢の激変によって、日本半導体が不可欠な位置を占めるようになった。日本半導体への逆風は、一挙に順風へ変わったのだ。半導体が、国際戦略製品であることを裏付けている。 日本半導体が、1980年代半ばに世界シェア50%強を握れたのは、半導体設備・半導体素材・半導体製品において一貫生産体制を確立していたからだ。半導体製品のシェアは、その後に急落したものの半導体設備や半導体素材は国際競争力を維持している。これが、半導体製品復活への手がかりになった。半導体基幹部分が健在であることが、半導体製品でも復活を早める大きな理由になっている。「腐っても鯛」なのだ。 TSMC熊本工場が布石 台湾の半導体企業TSMC(台湾積体電路製造)の熊本第1工場が2月24日、開所式を行った。引き続き第2工場建設計画を発表した。24年中に工事へ着手し、27年末に操業開始予定である。 日本政府は、引き続き財政支援計画を発表した。第1工場に最大4760億円を補助しているが、第2工場は約7300億円を支援する。両工場で、財政支援は1兆2060億円に達する。これだけの巨額支援は、無条件で出されている訳でない。次のような条件がTSMCへ付けられている。 1)10年間は撤収しない。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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