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『 田中優の未来レポート 』
第302号/2024.2.29
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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「孫の世代に影響する私たちの生き方」
私たちはこれまで、子ども世代への影響は考えてきたかもしれない。しかし孫世代以降にまで影響すると考えてきただろうか。それが影響するとは考えもしなかったのではないだろうか。ところが「ネオニコチノイド農薬」のような神経の発達に対する毒性のあるものは、孫世代以降にも影響するのだ。こうしたものを「継世代影響」といい、具体的にマウスの実験結果では、孫世代のマウスの子を食殺(食べ殺すこと)してしまう母マウスがほぼ三分の一に現れてしまうのだ(図1)。
これは直接にネオニコチノイド農薬を摂取していない。親の親世代にネオニコチノイド農薬を摂取しただけだ。しかも摂取した量はごくわずかで、この量なら影響が出ないと見られている「無毒性量」だけだ。第一に「無毒性量」が種ごとに異なる感受性を無視して作られていること、そしていい加減な数値である百分の一以下なら安全という根拠のない数値がまかり通っているからだ。そのごく微量のネオニコチノイド農薬を、祖父母世代に投与しただけの結果なのだ。
私たちはこの程度の量なら、水道水を飲んでいるだけで摂取している。ネオニコチノイド農薬は水溶性だから、農家で使われたネオニコチノイド農薬を水道水を経由して接種してしまっている。
マウスと同じようにヒトにも影響したなら、これからの世代に影響が出るかもしれない。その次の世代では半数近くに食殺が認められる(図1の右上のグラフ)。
この世代は食べられてしまっているので直接の個体の世代ではない。同一の世代から広がったひ孫世代の事態なのだ。私がネオニコチノイド農薬を恐れるのはこれほどの影響を起こしかねない危険性を持つためだ。
それだけではない。このネオニコチノイド農薬はこの過程で脳神経の発達に毒性を持つ。毒を得た直接の世代にも不安反応や記憶などに障害を起こす。ところがこの実験が示すのはその後の世代だ。第三世代であれば、もしかしたら第二世代の母の時点にすでに体内にあったであろう卵子に影響したのかもしれない。しかし第四世代となるとその世代には直接の影響はないはずだ。その世代で食殺という事態が起こったとなると従来考えられてきた毒性とは異なる毒性影響を考えなければならない。
その本格研究は今年度からになるが、それは今まさにアクトビヨンドトラストで研究に助成して実態を見極めようとしているところだ。今の時点で明らかになりつつあるのは図2に示す通りだ。(図2)
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