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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 218
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、東南アジアで軌道に乗り始めたTikTok Shoppingの現状についてご紹介します。
2023年のインドネシアのTikTok Shoppingの流通総額は33.93億ドルとなり、アマゾンの日本事業の1/5程度までに育ってきました。インドネシアでは、2023年9月に政府によって、TikTok Shoppingが禁止されるという事態が発生し、11月にはGMVがいったん0になりました。それでもこれだけのGMVを記録しています。
ライブコマースは、よく「中国以外では普及しない」と言われますが、東南アジアでは普及の兆しが見えてきています。
そこで、今回は東南アジア各国で、どのような商品が売れているのかをご紹介し、日本企業が参入の余地があるかどうかについても論じます。
今回は、東南アジアのTikTok Shoppingの現状についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 218
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▼目次▼
東南アジアで広まりライブコマース。TikTok Shoppingの東南アジアでの現在
小米物語その137
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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東南アジアで広まりライブコマース。
TikTok Shoppingの東南アジアでの現在
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今回は、TikTok Shoppingの東南アジアでの現状についてご紹介します。
もはや世界中でなくてはならないショートムービーSNSとなったTikTok。その本家版が「抖音」(ドウイン)であり、開発をしたのは字節跳動(バイトダンス)であることはもはや説明するまでもないと思います。
バイトダンスと創業者の張一鳴(ジャン・イーミン)の軌跡については、「vol.058:再び成長を始めたTik Tok。テンセントのWeChatと正面から激突」でご紹介しています。
バイトダンスの中核技術はAIで、ChatGPTによりAIがブームになる以前から、「AIリコメンド」(AIによるコンテンツの推薦)という分野を追求してきました。そのAIリコメンドがあることで、抖音は「無名の少女が、一夜で有名人に」という爆発的な拡散力を持つようになりました。このリコメンドシステムについては「vol.094:機械学習によるリコメンドがトレンド。EC「京東」、音楽サービス、TikTokのリコメンドシステム(下)」でご紹介しています。
また、ディープラーニング技術も追求をし、今日の生成AIに近い技術で、ショートムービーをほぼリアルタイムで加工し、特殊効果をかけるという機能を多数搭載し、これも抖音が人気になった大きな要因になっています。このような特殊効果技術に関しては、「vol.102:TikTokに使われるAIテクノロジー。最先端テックを惜しげもなく注ぎ込むバイトダンスの戦略」でご紹介しています。
素晴らしすぎる企業としか言いようがありませんが、この数年のバイトダンスは少し様子がおかしくなっています。漏れ伝え聞くところによると、大企業病が蔓延をし出し、スタートアップの頃の情熱が失われているというのです。
このような話は、いわゆる関係者の内訳話のようなもので、主観的な見方であり、話半分程度に聞いておくべきですが、バイトダンスが次の成長戦略を描けなくなっているということは事実です。
バイトダンスは中核技術であるAIリコメンド技術を活かして、最初のヒットサービスである「今日頭条」というニュースキュレーションアプリを開発しました。私も使っていますが、読みたいと思うニュースが無限に出てくる感じで、これ以上優れたニュースアプリは見たことがありません。特に素晴らしいのが、あるトピックに興味を持ち、関連ニュースまで読み始めると、AIが「この人はこのトピックに興味があるのだな」と判断をするらしく、別の角度の記事、深掘りをした記事が山ほど出てくるのです。中国で情勢分析系の仕事をする人で、「今日頭条」を使っていないというのはモグリだと言うことができます。それほど素晴らしいのです。
この今日頭条はあっという間にヒットをし、バイトダンスに莫大な広告収入をもたらすようになりました。そして、次にAIリコメンド技術を適用したのがショートムービーで、それが抖音、TikTokとなりました。抖音も自分が見たいと思うムービーが無限に出てくる感覚です。
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