台湾有事の危険が高まるパターンの一つに、中国と台湾それぞれの市民が熱狂し、感情をぶつけ合うケースが想定される。双方の民意が妥協を許さなければ、政治がそれに抗うことは難しいからだ。
世論を沸騰させる切っ掛けはさまざまあるが、どちらかに犠牲者が出るトラブルは感情的になりやすい。なかでも一方が当局者で犠牲者が民間人である場合は最悪だ。
つまり2月14日、金門島沖で大陸の漁船が転覆した事故は、両岸の緊張を一気に高めかねない問題なのだ。
現場では、4人の漁師が海に投げ出され、2人が亡くなっている。犠牲になった漁師たちには家族もいる。同情の声は瞬く間に大陸に広がり、習近平政権を激しく突き上げる声となった。
こうなれば中国側も、国民に分かりやすい形で「怒り」をアピールをしなければ収まらない。ただでさえデリケートな海域で、中台がにらみ合い、チキンレースのような状態に陥れば、次にどんなハプニングが起きても不思議ではない。
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