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[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.641]イラク戦争は米国が嵌った「罠」だったのか/米記者が描くサダム・フセイン側からの開戦の内幕

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.641 2024.3.4                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1249》 イラク戦争は米国が嵌った「罠」だったのか/米記者が 描くサダム・フセイン側からの開戦の内幕 【2】《CONFAB No.606》 閑中忙話(2月25日~3月2日) 【3】《FLASH No.553》 「もしトラ」の毒気は、すでに日本にも回り始めている ことに警戒せよ/日刊ゲンダイ2月29日付「永田町の裏 を読む」から転載 ■■INSIDER No.1249 24/03/04 ■■■■■■■■■■ イラク戦争は米国が嵌った「罠」だったのか/米記者が 描くサダム・フセイン側からの開戦の内幕 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  ピューリッツァー賞を受賞した米ジャーナリストでコ ロンビア大学ジャーナリズム学院教授でもあるスティー ブ・コールの新著『アキレスの罠:サダム・フセイン、 CIA、そして米国のイラク侵攻の起源』(ペンギン出 版、24年2月刊 https://amzn.to/4c1yo6G )が話題 で、米有力紙誌やウェブサイトで書評されている。3月 1日付ニューヨーク・タイムズのオピニオン欄にはコー ル本人が「なぜサダム・フセインのような独裁者が米国 の分析家や大統領を混乱させるのか」と題した1ページ の論説を寄稿し、また「報道の自由のための記者委員会 (RCFP)」のウェブの2月27日付ではコールがインタビ ューを受けている。 ●イラク戦争という最悪の間違い  2003年のイラク戦争は冷戦後の世界で米国が冒した最 悪の外交政策上の間違いで、イラク人と米国人の生命・ 財産に恐るべき損失を与えたばかりでなく、イランの勢 力拡大と地域的な代理戦争を招き、今なお米国が中東地 域で足をとられ続けている状況を生んだ。  なぜこれほどの間違いが引き起こされたのかについて は、サダムが大量破壊兵器を隠し持っているという偽情 報にCIAはじめ米諜報機関が振り回されたこと、そのた めブッシュ子大統領が判断を誤ったこと、戦争を求める 世論が沸騰しメディアがそれを煽ったことなど、米国側 の事情は散々に検証されてきた。しかし、なぜサダムは 長きにわたり握ってきた独裁権力ばかりか最終的には自 分の命まで失う結果となったというのに、持ってもいな い大量破壊兵器を持っているかのような印象を米国と全 世界に与え続けたのだろうか。そのこと は、ほとんど解明されてこなかった。  ところがこのほど、サダムが生前に側近や閣僚など周 りの者と交わした会話の2000時間分の録音テープをはじ め大統領執務関連の大量の文書などが閲覧可能になり、 コールは上述のRCFPなどと協力してこれらを解析し、そ の精髄を本書にまとめた。 ●CIAを信頼し過ぎてしまった?■■INSIDER No.1249 24/03/04 ■■■■■■■■■■ イラク戦争は米国が嵌った「罠」だったのか/米記者が 描くサダム・フセイン側からの開戦の内幕 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  ピューリッツァー賞を受賞した米ジャーナリストでコ ロンビア大学ジャーナリズム学院教授でもあるスティー ブ・コールの新著『アキレスの罠:サダム・フセイン、 CIA、そして米国のイラク侵攻の起源』(ペンギン出 版、24年2月刊 https://amzn.to/4c1yo6G )が話題 で、米有力紙誌やウェブサイトで書評されている。3月 1日付ニューヨーク・タイムズのオピニオン欄にはコー ル本人が「なぜサダム・フセインのような独裁者が米国 の分析家や大統領を混乱させるのか」と題した1ページ の論説を寄稿し、また「報道の自由のための記者委員会 (RCFP)」のウェブの2月27日付ではコールがインタビ ューを受けている。 ●イラク戦争という最悪の間違い  2003年のイラク戦争は冷戦後の世界で米国が冒した最 悪の外交政策上の間違いで、イラク人と米国人の生命・ 財産に恐るべき損失を与えたばかりでなく、イランの勢 力拡大と地域的な代理戦争を招き、今なお米国が中東地 域で足をとられ続けている状況を生んだ。  なぜこれほどの間違いが引き起こされたのかについて は、サダムが大量破壊兵器を隠し持っているという偽情 報にCIAはじめ米諜報機関が振り回されたこと、そのた めブッシュ子大統領が判断を誤ったこと、戦争を求める 世論が沸騰しメディアがそれを煽ったことなど、米国側 の事情は散々に検証されてきた。しかし、なぜサダムは 長きにわたり握ってきた独裁権力ばかりか最終的には自 分の命まで失う結果となったというのに、持ってもいな い大量破壊兵器を持っているかのような印象を米国と全 世界に与え続けたのだろうか。そのこと は、ほとんど解明されてこなかった。  ところがこのほど、サダムが生前に側近や閣僚など周 りの者と交わした会話の2000時間分の録音テープをはじ め大統領執務関連の大量の文書などが閲覧可能になり、 コールは上述のRCFPなどと協力してこれらを解析し、そ の精髄を本書にまとめた。 ●CIAを信頼し過ぎてしまった?

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