「教育現場の非常識、徹底解明が必要」
福岡市にある私立博多女子中学校で、担当教員が公立高校の出願期限を勘違いして願書の持参が遅れたため、願書が受け付けられず、3年の生徒3人が受験できなかったことが発覚しました。「生徒に非がないのにどうして」という疑問が、全国に広がっています。
この3人が出願しようとしたのは、福岡県古賀市の公立・古賀竟成館高校という学校です。公立ですが、県立ではありません。具体的には、古賀市、福津市、新宮町の2市1町が組織する一部事務組合の古賀高等学校組合が運営しているものです。一部事務組合(読み方は、「いちぶじむくみあい」)とは、複数の市町村が行政サービスの一部を共同で行うことを目的として設置する行政機関で、地方自治法284条2項により設けられるものです。
報道によりますと、願書の提出期限は2月16日正午だったそうです。ですが、担当教員らは県立高校と同じ20日が期限だと思い込んでいて、持参を怠っていたようです。そして、16日の午後2時になって気がついて、慌てて高校に願書を届けたのですが、期限を2時間過ぎたとして受理されませんでした。結果的に、3名の生徒は22日に実施された入学試験を受けられなかったのです。
この問題ですが、全く事情がよく分かりません。多くのニュースが指摘しているように、「生徒は悪くないのに受験できなかった」のは問題だと思います。この点については議論の余地はないと思います。問題は、その背景です。色々な事情があり、つまりは論点がありそうです。
1)そもそも、願書を「持参せよ」という運用をしていることが大問題です。教育行政においては、今でも学校現場でファックスが使われており、これがペーパーレスを阻害しているからと、デジタル庁がファックス廃止に動いてます。ですが、仮にファックス廃止が進んでも、その抜け道として「郵送や持参」が横行しているのでは、現場の負担軽減にはなりません。とにかく「持参」などという馬鹿な運用をしているのは「何故か?」を徹底追及すべきです。
2)この1)に関する仮説として、もしかしたら学校現場には「高校は中学より偉い」という序列意識があるのかもしれません。中学の教員を呼びつけて願書を持参せよなどという乱暴なことをやる背景には、そのような歪んだ優越意識がありそうです。実はこの「高校に中学の教員が願書を持参する」という習慣は、少し前まで全国各地にありました。どうして福岡県では廃止が遅れているのかも解明が必要です。
3)2時間遅れを許さないという運用の背景には、何があるのかも興味深いです。正午に締め切り、午後イチで開封し、3時頃に一覧ができて、4時半に事務員が退勤するといったルーチンが確立しているので、融通を利かせると勤務時間が超過するなどの事情があるのでしょうか。それとも、試験の権威性を維持したいのか、それとも2)のように中学に対して威張りたいのか、県立より先に学生を確保したいのか、具体的な理由も解明されるべきと思います。
4)公立高校という位置づけについてですが、本来は県立であるべき高校の一部が、「組合立の公立高校」となっているというのは、どういうことなのか、興味があります。歴史的には県立校の分校だったのが、やがて独立して複数市町村による「組合立」となったとされています。福岡では他にも数例があります。その経緯ですが、県は廃止しようとしたので地元が受け皿を作ったのか、それともカネが余っていたのか、事情がよく分かりません。炭鉱衰退の問題と、都市化の問題などが絡んでいそうですが、とにかく不思議です。納税者からすれば、県の予算が来ないのではその地域の納税者は還元がなく不利になりますし、とにかく不思議です。
5)問題は、これだけ騒がれているのに、受験を拒否した高校の校長も出てこないし、教育長も、首長もだれも説明しようとしていないことです。最近、コミュ力のない、いや政策もないような怪しい首長が当選して、メディアの取材を何かにつけて拒否する例があります。そうしたトレンドの一つとして、批判されてもいいと思います。
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