日本へAI半導体余波
チップレット死命制す
短納期で商機を確保へ
利益上昇が高賃金約束
日経平均株価は、すでにバブル時(1989年12月30日)の高値を抜いたが、3月4日には史上初めて4万円の大台に乗せて上昇速度を維持している。今年の上昇率は20%と世界のなかで突出している。米株市場で、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数が、連日最高値を更新している。日本が、この流れを引き継いだ形である。米国発AI革命への期待が、日本の半導体復興期待へ繋がったものだ。
日本半導体は、台湾TSMCの熊本第1工場操業についで、24年中に熊本第2工場建設が発表された。27年末の操業予定だ。国策半導体会社ラピダスは、25年に2ナノ(10億分の1メートル)ロジック半導体試作品を発表し、27年から量産化に入る予定である。こうして、日本が「半導体列島」として世界で存在感を強めていることで、株価の強力な支援材料になっている。
日経平均株価が、4万円の大台へ乗せた材料はこれだけでない。企業の賃上げ体制が本物であるという認識が深まってきたことだ。株式市場では、大幅賃上げ方針を発表した企業の株価が上昇に転じる現象をみせている。賃金の源泉となる利益を生む自己資本利益率(ROE)と賃上げ率を組み合わせれば、銘柄選択の尺度になるとの見方まで登場しているほど。大幅賃上げが、企業収益力の「代替指標」になってきたのである。
従来の感覚では、賃金がコストであった。コーポレートガバナンスが徹底してきた現在では、賃金に対して「人材投資」という認識に変わっている。これからは、労働力不足が一段と激しくなる時代だ。賃金コスト論という旧式の考え方に固執していると、必要な人材を確保できない危機感が企業を襲っている。大企業が、競って大幅賃上げをしているのは、こうした危機感に駆り立てられているものだ。
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