『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!
VOL.459 / 巨星墜つ! 甘露寺泰雄先生を偲ぶ
2024年3月7日発行
今週の目次
1.コラム~うつうつ湯避行 = 巨星墜つ! 甘露寺泰雄先生を偲ぶ
2.今週の“一湯”両断!= 単純ではない単純温泉・こたヤンさんへ1
3.不定期連載 郷土の味 逍遥 = 「岐阜県飛騨路の朴葉味噌」
4. 読者からのお便りコーナー = 運び湯温泉についての雑感2
5.ただいま仕事中!&発刊済みのお仕事一覧
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1. コラム〜うつうつ湯避行 #459
「巨星墜つ! 甘露寺泰雄先生を偲ぶ」
今週の火曜日のこと。
夕食の買い物に出掛け、食品を仕入れて自宅に戻った僕は、ポストに届いていた郵便物をまとめて手に持ち、そのまま自宅事務所に入った。
郵便物をカミさん宛と分けて、自分の分は事務所に入ってから確認したのだが、そこに驚愕する郵便物があったのである。
急いで封を開けて確認すると、温泉業界の巨人と言っても過言ではないお方、甘露寺泰雄先生(元公益財団法人中央温泉研究所専務理事)が、昨年11月18日にご逝去されたとのこと。
僕にとっては寝耳に水という内容であって、お亡くなりになったことさえも知らなかった。
無念ではあるけれども、とにかくは謹んで心からお悔やみを申し上げたいと思う。
温泉ファンであれば、この個性的な名前を全国の温泉施設や宿のあちこちの成分分析書で目にしてきただろうと思う。
思えば僕が会社を退職したのち、全国の温泉巡りをしているうちに浮かんできた朧げな疑問点を、甘露寺先生への取材で微に入り細に穿って説明されることがなかったら、拙著『温泉失格』を書くこともなかったに違いない。
先生は、
「源泉かけ流しであればなんでも清潔だなんてのは、とんだ間違った考えだ。
源泉かけ流しだと汚いから循環システムが生まれてきたのであって、順番が逆なんだよ。
それをみんな勘違いしているんだ」
「浴槽内を清潔に保つには、1時間に1回、そっくり湯が入れ替わる(1ターン)量の湯が湯船に注がれることが重要。
ところが、今でも1時間に1ターンという源泉かけ流し施設は、日本中に1割もないと思う」
と語り、僕を驚愕させた。
このインタビューの後、長い時間をかけてようやく書き上がった書籍の見本をお送りした際、おそらくは手元に届いたその日に拙著を隅々までお読みいただき、ファックスで「ぜひ第2弾を書いてください」と感想を送っていただいたことを忘れることはない。
温泉業界では偉大なる巨人であったのに、僕の如きフリーライターにも気さくに話をしてくださり、その話が実にエネルギッシュで、なかなか話が終わらなかったことも本当に印象深かった。
残念ではあるが、天国に召された先生がそこで「地獄地帯」を見つけて、周辺に湧く湯の成分分析をしているような気がしてならない。
まさにそのような姿がぴったり似合う方であった。
何はさておき、合掌。
そんなわけで、今号もどうぞよろしくお願いいたします。
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