久しぶりにウヨクの集まりに行った。
以前、産経新聞社の正論新風賞というのに選ばれたことがあるが、それの関係で今年の授賞式の招待状がきたので、久しぶりに会える人もいるかと思って、行ってみたのだ。
結果的に、自分の小物ぶりを思い知らされることになった。
少し遅れて行ったのだが、授賞される人の紹介や来賓のあいさつとかがあるのだが、席に通してもらって後ろで立っていることになった。
こちらが遅れて行ったのだからこちらが悪いと思っていたら、次から次へと別の客は席に通されて着席していく。
そして、正論の人たちは誰も気づくことなく、こっちを通り過ぎていく。
30分以上立ちっぱなしでいて、老体にこたえるので、さすがにその場を離れて、会場のニューオータニのコーヒーハウスに行くことにした。
パーティが始まる時間を見繕って出ていき、何人かの知り合いとお会いしてあいさつができたから良しとしようと思った。
今は、昔と違って、私がどちらかというとリベラルな言説を唱えるので、もはやウヨクの人たちには御用済みなのだろう。
そういえば正論の編集長という人も紹介されたが、私のことはまったく知らないようだった。
無名なのは自覚しているが、もともとはレギュラーに近い執筆者だったのに、それでも知られていない自分が情けなかった。
そういえば、今週、もう一つ情けない思いをした。
私が日大をクビになるに際して、その前にWILLという雑誌で、日大の問題点についてジャーナリストの須田慎一郎さんと対談したことがある。
もともとは学部長会議での私の「やめてやる」発言に対して、林真理子理事長から、それについて「学部長たちがうるさいのよ」とかなり彼らにおびえているような様子で私に日大の理事と常務理事をやめてほしいという依頼があったので、私もそんなに立場が悪いのならと気の毒になって辞表を書くことにしていた。
ところがこのWILLという雑誌の記事が出てから林先生からまた呼び出しがあって、この記事について学部長たちが騒いでいるし、評議員会でも問題になったので(あとで聞いたら一人だけそれを問題にしたそうだが)、すぐにやめてほしいということになった。
どうせやめるからグズグズするのもみっともないと思い、部屋の片付ける間もなく追い出されるような形で日大を去ることになった。
そういう事情を知って、須田さんが私に同情して、WILLに林理事長の批判記事を書いてくださった。
もちろん、それについては私も正直に須田さんのインタビューに答えた上でだ。
すると、WILLの編集者から「実は、4月号の発売を受けて林真理子理事長から、井川意高さんを通して以下の伝言がありました。
『和田秀樹さんのことを書くならちゃんと取材してください。田中時代の学部長はいま3分の1くらい。私は彼らに何か言われたこともありません』
とのことでした。」というメールをいただいた。
「田中時代の学部長はいま3分の1くらい」なのは事実だが、私と林理事長が就任した時点で、代わった学部長はいなかったのも事実だ。その後、定年そのほかで交代した学部長がいるだけだ。「根本学部長のように田中時代に就任した人がそのまま残った」のは間違いではない。
それ以上に問題なのは、数の上では田中時代から学部長をやっている人間は少数派になったが、彼らが学部長経験が長いのをかさにきて、学部長会議をしきっていることだ。
「林理事長との私的会話を録音してマスコミに流すより、理事会の内容を漏洩する(誤りを訂正しただけだし、理事会での私の発言しかその取材では言っていない)和田の方がよほど悪い」と根本という田中時代に就任した工学部長が発言したわけだが、学部長たちは誰一人として「それは言い過ぎた」とは言わなかった。
議事録を見ればわかるように、学部長会議でいちばん発言の多い渡邊という国際関係学部長は2014年の田中時代に学部長に就任している。
次の部分がもっと問題だ。
林理事長が、学部長たちに「何か言われたこともありません」のなら私は嘘をつかれて辞表を書かされたことになる。
彼女が学部長に脅されたというから気の毒になって辞表を書いたのに、その事実がないとすれば、本当は私が気に食わないのでやめさせたのに、学部長たちをだしに使ったということになる。もし「あなたは気に入らないから、やめてちょうだい」というのなら、やめることはやめるだろうが、ちゃんと理事会で正式の辞任勧告が出てからそれを受けるという形で辞めただろう。
ただ、私は林理事長がそのとき嘘をついたと思っていない。
おそらくはWILLの記事をみて学部長たちが怒り狂って、また林理事長に詰め寄ったのだろう。「俺たちがなんか言ったとでも言いたいのですか?そんな事実はないでしょう」とでも。
そして林理事長はまたビビッて抗議文を出した。
いずれにせよ、須田氏はきちんと取材して日大のことを書いたのは確かである。
いずれにせよ、日大はそういう組織だし、私はその程度の軽い価値の人間だと林理事長から思われているようだ。
ああ、情けない。
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