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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 219
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、中国経済の展望についてご紹介します。
中国経済がパッとしない状態であるのは、読者のみなさんもよくご存知であるばかりでなく、実感もされていることだと思います。最も身近に感じるのは、とにかくものが売れないという状況で、企業も消費者も弱気になっていて、その結果、価格を下げざるを得ず、悪いデフレが確実に進行をしていることです。
この時期、2月22日に、清華大学の研究チームが中国経済の展望に関する論文を発表しました。これは全人代の始まる直前です。しかも発表された場所は、政府系機関誌の「改造」ですので、政府の政治局員は全員が読んでいると言っても差し支えがなく、中央政府の政策に大きな影響を与えることになります。
この論文は、社会主義国にありがちな、自国を称え、希望に満ちた自画自賛の内容にはなっていません。冒頭で、中国経済の潜在的な成長力は高いということを人口動態を元に主張します。論文では、5.81%程度の成長をする潜在能力をもっているはずだと結論づけます。
しかし、現実にはそうなっていない。それはどのような問題があり、どうしたら潜在能力に近い成長ができるのかという政策提言をしています。
つまり、中国経済の課題とその処方箋が書かれているのです。その処方箋については、中央政府の政策として実行される可能性は非常に高いはずです。つまり、2024年の中国経済の動向を見る上で、非常に参考になる内容になっています。
ということで、今回は、この中国経済の展望に関する論文の内容についてご紹介をします。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 219
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▼目次▼
潜在能力は高いのに、成長ができない中国経済。その原因と処方箋。清華大学の論文を読む
小米物語その137
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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潜在能力は高いのに、成長ができない中国経済。
その原因と処方箋。清華大学の論文を読む
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今回は、今後の中国経済の展望についてご紹介します。
中国経済の調子がよくないことは言うまでもありません。しかも、大手不動産デベロッパーの破綻だけが原因でなく、地方政府の財政、民間企業/消費者のマインドの萎縮、高い失業率、米中経済のデカップリングなど、さまざまな要因が重なっています。
当然ながら、日本や米国のメディアでは、「中国経済崩壊」という言葉が踊り、中国経済はもう終わると報道しているところが増えています。それを鵜呑みにされている方もたくさんいらっしゃるようです。しかし、最近、少し変化が起きているのは、このような中国経済崩壊報道に素朴な疑問を呈する人が現れ始めていることです。すなわち「何十年も前から、今年こそ中国経済は終わると言われているけど、いつになったらほんとうに終わるの?」という疑問です。
2024年こそ、中国経済はほんとうに終わってしまうのでしょうか。
そこで、今回は、清華大学の中国経済思想・実践研究院(ACCEPT、
http://www.accept.tsinghua.edu.cn/)が公開した論文をご紹介したいと思います。論文と言っても、「改革」という雑誌の2024年第1期号に掲載されたもので、私たちのような経済の専門家でない一般人でもじゅうぶん読めるように配慮されています。
その論文とは「穏中求進、以進促穏、先立后破ーー現在の中国経済の情勢分析と2024年の展望」というものです。3つ四字熟語を使った主題は「安定の中に発展を求める、発展をもって安定を促す、先に確立してそれを打破する」というような意味です。
https://www.accept.tsinghua.edu.cn/2024/0222/c22a5831/page.htm
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