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楽天モバイル「学割」投入で他社と同じ土俵に立つ  石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.555

石川温の「スマホ業界新聞」
-------------------------------------------------------------------------------------- 石川 温の「スマホ業界新聞」 2024/03/09(vol.555) -------------------------------------------------------------------------------------- 《目次》 1.楽天モバイルが22歳以下「最強青春プログラム」を発表 ----独自路線より「同じ土俵」で戦う方向転換 2.アップルが全編iPhoneで撮影した「ミッドナイト」を公開 ----各スマホメーカーの「映画も撮れます」アピールが過熱 3.TBSテレビがAWSを活用した報道支援システムを構築 ----地方局とスタッフの「情報共有」を加速 4.今週のリリース&ニュース 5.編集後記 -------------------------------------------------------------------------------------- 1.楽天モバイルが22歳以下「最強青春プログラム」を発表 ----独自路線より「同じ土俵」で戦う方向転換 ------------------------------------------------------------------------------------------ 楽天モバイルは「最強青春プログラム」を2024年3月12日からスタートすると発表した。2月に開始した「最強家族プログラム」に続く施策となる。家族プログラムは家族一人あたり110円を割り引くが、青春プログラムは22歳以下なら110円分のポイント還元する。 楽天モバイルが家族割や学割を導入する背景にあるのは「家族割や学割がないとユーザーの選択肢に入らないから」と言う理由だ。すでに既存3社で家族割や学割に入っているユーザーからすると、楽天モバイルがどんなに単体で安い料金プラン設計になっていても「すでに家族割や学割で安いから」という理由で、比較検討の対象にもならないというわけだ。 楽天モバイルが家族割や学割といった他社と同じ土俵に乗ることで、ようやく「比較ができるので、どっちが安いかを選べる」ようになるというわけだ。 結局、このあたりの料金プラン施策は歴史が繰り返されているように思える。圧倒的に強い料金プランに対して、別の切り口で攻めて安さを訴求しても、ユーザーはついてこない。同じ土俵に上がってからこそ、改めて安さをアピールすることでユーザーの理解が深まるのだ。 例えば、ソフトバンクが参入したときはゴールドプランやホワイトプランを投入したものの、同時にブループランとオレンジプランというNTTドコモやauと比較しやすい料金プランをあえて設定することで、比較しやすくしたのだった。 また、ahamoが20GBで3000円程度の料金プランを発表した際、他のMNOやMVNOはあえて20GBというデータ容量でちょっとだけ安いといった料金プランで対抗してきた。 家電量販店の店頭やメディアなどではやたらと「比較表」を作りたがる。かつて日経トレンディ記者として、毎月のように比較表を作っていた自分が言うのは申し訳ないが、この「比較表ありき」の風潮によって、結果として、どのキャリア、MVNOも同じ土俵に集まっていくのだろう。 楽天モバイルも、500万契約というキャズムを超えて、より一般的なユーザーにわかりやすく、比較しやすい訴求をしなくてはいけなくなってきた。 そのため、家族割や学割といった他社では当たり前の施策を打つ必要が出てきたのだ。 ただ、ちょっと不安になるのが、この学割は導入時期が遅いというのもさることながら、期間限定ではないという点だ。今後も恒常的に提供するとなれば、来年の春商戦はどのように戦っていくのか。 1年間、青春プログラムを提供し続けていたら、来年の春商戦においては世間に対するインパクトも相当、弱まってしまう。だからといって、もう110円、ポイント還元を増やすというのも無理がある。

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  • 日々、発信されるスマートフォン関連のニュース。アップル・iPhoneにまつわる噂話から、続々と登場するAndroidスマートフォンの新製品情報。ネットワーク障害やキャリアの新サービスなど、話題に事欠かないのがスマートフォン業界です。膨大なニュース記事があるなか、果たして、どの情報が重要で、今後を占う意味で重要になってくるのか。ケータイジャーナリスト・石川 温が独自の取材網を生かしたレポート記事を執筆。さらに業界のキーマンにもインタビュー取材を行い、スマートフォン業界の「今」を伝えます。スマートフォン業界人の「必読紙」を目指します。
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