第306号(2024年3月15日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』をお読みいただきありがとうございます。
皆さん、どのような一週間をお過ごしでしょうか?
私の方はジェットコースターのような天候に翻弄されながらも、
何とか複数の案件をこなす一週間でした。
来週は『お知らせ』にもあるように、オーストラリア・キャンベラに赴きますが、
「あ、キャンベラにいるよ!」という場合はぜひお声掛けください。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、引き続き
【危機管理の交渉術(Crisis Negotiation)】についてお話しします。
先週号ではHostage Negotiatorのテクニックと心理がいかにビジネスや日常生活における
緊急事態・危機管理の交渉術でも役立つかについてお話しし、具体的なスキルと心理について紹介しました。
今日はとても役立つ残り二つの心理とスキルについてお話しいたします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週もいろいろな動きを見せています。
一つ目は【ラマダン中の侵攻が生み出す反イスラエルの連帯】についてです。
カタール、エジプト、そしてアメリカがイスラエルとハマスの仲介において
『何とかラマダン前に戦闘休止を実現すること』を目標に奔走してきましたが、
3月11日のラマダン入り後も、イスラエルによる侵攻は継続しています。
ラマダンはイスラム教徒にとって最も神聖な月であり、
その宗教的な重要さを知りながら全く敬意を表しないイスラエルに対して、
イスラム諸国の反感が高まり、反イスラエルの機運が高まっています。
パレスチナ周辺のアラブ諸国はもちろん、インドネシアやマレーシア、セネガル、マリなどのイスラム諸国においても反感が
募り、イスラム連帯による対イスラエル攻撃が懸念される事態です。
イスラエル政府はラファ侵攻の“必要性”を強調しますが、
その主張は最大の支援国であるアメリカ政府にも理解されていない危険な状態です。
3月10日までにという明確なタイムラインが失われた今、仲介努力の出口が見えなくなってきており、
戦火の広がりのみならず、“テロの多発”も懸念される事態です。
カタールはラマダン中も仲介努力を続けると言っていますが、何か成果があるかどうかは分かりません。
二つ目は【ウクライナ紛争をめぐる各国の思惑の錯綜】についてです。
今週末にはロシアの大統領選が控えていますが、今のところプーチン大統領が再選されるのはほぼ間違いなく、
それはよほどのことがない限り2030年までプーチン大統領のロシアが続くことを意味します。
(ご本人もそれを前提に他国の政治に口出しを始めています。)
各国もそれを前提としてロシアとの付き合い方を模索し始めていますが、その中で最大の不確定要素が
『いかにロシア・ウクライナ戦争を停止するか』ということと、
『ポスト・ウクライナ戦争の世界においてどのようにして主導権を握るか』というせめぎ合いです。
一時は下火になった調停・仲介熱も再来し、中国の李輝氏(ユーラシア問題特使)や、
トルコのエルドアン大統領などがスタンバイ状態に入りました。
また発言内容が切り取られて大変なバッシングを受けてしまったローマ教皇も、調停・仲介に意欲を示しています。
戦況はロシア軍有利の状態がこのところ続いているとされていますが、
ウクライナ側もドローン兵器などを用いてロシア軍の艦船を攻撃して、黒海における制海権を回復しようと善戦しています。
ロシア大統領選挙後、ロシアがどのような攻勢をかけてくるかは未知数ですが、
これまでに入ってくるいろいろな分析を見ると、今月中から4月には何らかの動きに出そうだと予想できます。
しかし、もう一つはっきりすることは、
“停戦”はウクライナにとっては残念ながら有効な選択肢にはならないと思われることです。
仲介・調停に名乗りを上げるリーダーたちは、それをどこまで理解して、行動しようとしているのでしょうか?
【2-国際情勢の裏側】では、
【End Gameが見えない2つの紛争‐危機と不確実性の拡大】
と題してお送りいたします。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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