大企業製造業は8割満額
国内はM&A時代へ突入
GDP3位転落巻返しへ
日本経済取巻く環境好転
24年春闘は、日本経済の将来を占う試金石となった。これまで、賃金をコストとしてみてきた企業が、180度の転換で「人材投資」という認識に変わったことだ。賃金が、コストであれば切下げるほど企業の利益になる。今や、本格的な労働力不足に直面して、賃金は人材投資であることに気づかされたのである。優秀な人材を集めて能力を発揮させるには、よりよい待遇が前提条件になった。賃金は、将来を見据えた投資なのだ。
24年春闘は、3月15日現在の連合による第一次集計で、平均賃上げ率が5.28%となった。前年同時点を1.48ポイントも上回った。昨年に引き続く2年連続の高い賃上げ率は、一過性でないことを示している。日本企業が、賃金コスト論を脱却して人材投資という視点に転換したことを意味している。その意味では、日本企業の「経営革命」と呼んで差し支えなかろう。
連合は、従業員数300人以下の中小企業の賃上げ率も発表した。それによると、4.42%に達し、32年ぶりの高水準となった。前年同時期を0.97ポイント上回ったのだ。賃金引き上げ機運は、こうして中小企業にも広がっており、物価と賃金が持続的に上がる好循環の基盤が形成されてきたとみてよかろう。
24年春闘は成功した。問題は、零細企業の賃上げがどこまで可能か、である。下請け企業の場合、発注先の企業が人件費上昇分を受入れるかがポイントになる。政府は、「下請法」によって正当な人件費上昇を受入れるように公正取引委員会が監視している。先頃、下請法違反の企業10社の社名が公表された。「一罰百戒」の意味を込めた発表だが、こうした違反は絶対に防がなければならない。
年央の実質賃金は、プラスに転じる可能性が強まっている。長かった「冬の季節」が終わりを迎えるであろう。
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