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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」
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第664号(2024/3/17) 米国では過度の楽観が打ち砕けへ、日本株も正常化がじわりと進んだ/為替市場では不気味な仕掛けの気配、実態を無視する市況か
この週刊「世界経済・市場花だより」は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット馬渕治好が、わかりやすく解説します。
※ 自主開催セミナーの予定です(カッコ内は、現時点でのお申し込み数/定員、です)。残席は、10を下回った場合に表記します。
3/30(土)名古屋(4/25)
4/6(土)浜松町(5/25)
4/13(土)ウェブ(5/150)
4/20(土)札幌(5/25)
4/27(土)高岡(1/25)
6/1(土)大阪(2/18)
6/15(土)横浜(2/20)
6/29(土)福岡(0/20)
7/13(土)浅草(8/20)
7/27(土)ウェブ(1/150)
セミナーのスケジュールは、
http://bd-fleurettes.eco.coocan.jp/sub3.html
のページの下の方にあります。詳細やお申し込みは、それぞれのリンク先をご覧ください。
上記リンク先には、他社主催のセミナーも掲載されています。
3/23(土)東京会場ライブ及び録画視聴(アスリーム主催)
☆過ぎし花~先週(3/11~3/15)の世界経済・市場を振り返って
<米国市場では、根拠の薄い過度の楽観論が経済指標という「事実」により打ち砕けつつある、日本株は正常化が進んだがじわりとしか進まず、さらなる株価下落の余地を大いに残したまま、為替市場では不気味な仕掛け商いの気配が>
(まとめ)
少し前まで、米国株式市場は、根拠の薄い過度の楽観論に支配されていました。その楽観論とは、「経済は鈍化しているが堅調だ、インフレ率が低下していくので金利はものすごく下がる」といった、「景気は良いし金利は下がる」との都合がよい見解でした。
これに対し、その楽観論を覆すような材料が次々と現れ始めたものの、市場はずっと軽視してきました。しかし先週も、景気の悪化とインフレ率の下げ止まりといった「事実」を示すデータが市場に突き付けられたため、市場は「景気は思ったより悪いし金利は思ったほど下がらない」と、楽観論の見直しを余儀なくされています。それでも、まだまだ実態と株価の乖離はあまりにも大きすぎる(まだまだ米国株価が下落する余地がある)と判断します(後の「盛りの花」もご参照ください)。
日本株も、日本のことをよくわかっていない、日本株投資の経験も乏しい、海外投資家が、構造的な日本の好ましい変化が急速に生じるかのように「誤解」し、どんどん日本株を「誤って」買い上げてきました。そうした日本株の買われ過ぎは、何らの材料もきっかけもなく「正常化」(株価下落)してもまったくおかしくはないですが、先週も日銀の金融政策変更や米株の頭の重さをネタとして、株価の下落が生じました。
ただ、大きく日経平均が下落したのは週初(3/11、月)のザラ場安値くらいまでで、その後は特に裏付けもなく切り返す動きをしばしばみせました。この点からは、逆に今後の株価の下落余地が大きく残っているばかりだと、解釈します。
なお、米国のインフレ率の下げ止まりと金利の下げ止まりは、将来の米国景気の悪化を大きくする要因なので、本来は米ドル安をもたらすはずです。ただし足元では、機械的に「米金利が想定より高い→米ドル買い」と考える投資家が多いようで、先週末も米ドル高方向への切り返しが目立ちました。
加えて、本来の動きである米ドル安・円高が進む前に、理由をこじつけて米ドル高・円安(並びに日本株高)に力づくで持って行こうとする投機筋の動きがあるとの観測があり、もしそうであれば市場を歪ませるばかりになると懸念します。
(詳細)
少し前までの米国市場は、長い間、「経済は鈍化しているが堅調だ、インフレ率が低下していくので金利はものすごく下がる」といった、「景気は良いし金利は下がる」との都合がよい見解に支配され、過度の楽観に陥っていました。それに対し、実際の米国経済の動向は、当メールマガジンで昨年から指摘していたように、表面的な経済データの内容はまだ堅調な面もあったものの、昨年から先行き悪化する要因が底流に流れており、それがようやく今年になって、表からも目に露わな形で経済指標の悪化がわかるようになってきています。
しかし「米株価がいけいけどんどんで上がっていって当たり前だ」と、最近の株価上昇に心を失ってしまった専門家や投資家は、しばらくは、そうした株価上昇に都合が悪い「事実」(経済実態の悪化を正しく示しているデータ)を軽視し続け、暴走をやめることがありませんでした。
そのため、米株価は買われ過ぎの上に買われ過ぎを積み上げ、たとえばS&P500指数の予想PERをみると、先週(3/15、金)に終わる週は20.7倍と、通常のレンジである15~18倍を上に大きく突き抜けています。これは、近年の主要なPERのピークと比べると、2018年1月の18.8倍や2020年2月の19.4倍をも上回っており、おそらくその2局面と同様に、これから大きな株価調整に見舞われるものと予想します。
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