■値段が高いの壁を壊す
コロナが5類に移行して大きな変化が生まれた。身の回りのあらゆ
るものの物価が上がり続けるインフレ時代に突入した。手取りも変
わらない中、厳しい経済状況に置かれている。
働いても働いても給料が上がらない。値段を見て「高い」と感じ、
買うのをためらってしまうことが少なくない。だが、売り手側に立
てば値上げしたくて値上げしているわけではない。
原材料、人件費、物流費などの高騰で値上げが不可欠だ。日本だけ
が安売りを続けていたら、世界から取り残される。値段が上がれば、
結果的に給与も上がっていくはずだという考え方もある。
値上げで売り上げが落ちこむとしたら、何のための値上げかわから
ない。コロナ禍でも、アフターコロナでも、ヒット商品は出続けて
いるし、中にはかなり高価格のものもある。
高くても売れるには理由があるのだ。こんな時代にコスパに疑問符
が付くのに、なぜか消費者の財布の紐が緩んでしまう商品がある。
その共通点をおさえることだ。
★
値段が高くても売れる商品は、感情が動く、気分が上がる、テンシ
ョンが高くなるなどの共通点がある。人は、気持ちを高揚させるも
のにはお金を出してしまう。だから高くても売れるのだ。
物やサービスを買ったり、店で飲食をしたりするときには、大きく
分けて2つのスタイルがある。一つが理性的な消費であり、もう一
つが感情的な消費だ。
たとえば、ドラッグストアで日用品を買うときは、値段、実用性、
利便性、知名度などを勘案して購入する。価格と品質のバランス、
いわゆるコスパを考えた理性的な消費になる。
一方、感情的な消費は、理性で考えるとコスパは良くないものだ。
「高い」と思いながらも、なぜか欲しくなり、買ってしまう。そん
な消費スタイルがあるのだ。
★
たとえば、普段は節約していても、タレントの推し活のためなら惜
しくない。応援しているスポーツチームのロゴ入りタオルや、旅先
で買ってしまうお土産も、コスパで考えれば不合理な買い物だ。
あるいは、自分へのご褒美として買うアクセサリーや高級時計、記
念日に使うレストランやプレゼントも感情優先の消費だ。デートで
コスパを追求すれば、相手が不機嫌になりかねない。
経済的な余裕がなくなるインフレ時代には、人は合理的な消費行動
をとるものだ。 だが、それだけでは心は枯れてしまうし、満たさ
れないものがある。
潜在的にそう理解しているからこそ、人は自分の感情を動かしてく
れるものには価値を感じるのだ。そして、不合理でもお金を払いた
くなるのだ。
★
商品やサービスを理性で売ると、価格や品質など合理的土俵の勝負
になる。この戦いの基本は効率だから、業界トップの大企業など、
効率に長けた組織に敵わない。同じ土俵では勝ち目がないのだ。
だから、何らかの形で消費者の感情を動かし、感情的な消費の土俵
に勝負を持ち込むことだ。これこそが、インフレ時代に高く売る秘
訣なのだ。
バカ売れにつながるキーワードがある。すなわち、アガる、プレゼ
ント、自分メンテナンス、プチ贅沢、ご褒美、応援消費 レトロ、
エモい、ガチの7つだ。
これらは、完全に独立しているわけではなく、1つの商品にいくつ
か重なり合ってることが多い。 たとえば「気分がアガる」という
要素は、多くのヒット商品に共通して存在するものだ。
このキーワードを軸に、消費者の感情を動かすポイントを分析する
ことだ。これが理解できれば、自社の商品やサービスが高売れする
アイデアを思いつくヒントになるはずだ。
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