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ビジネス知識源プレミアム(水曜刊:660円/月:税込)Vol.1419
<Vol.1419号:正刊:数理経済的な認識と事業経営>
2024年3月20日:経済統計は国民の実感の乖離(かいり)する
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著者:システムズリサーチ:吉田繁治
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最初に問いかけをします。事業創造、事業経営の本質とすべきものは何でしょうか。
わが国には製造・流通・小売り・サービスの異なる商品領域で法人が約400万社があります(稼働は260万社)。年間の開業率はドイツが14.3%、米国13.4%、日本は半分以下の5.2%です。5.2%でも1年間20万社くらいが新しく開業しています。
店舗や外食チェーンでは、会社は興さななくても、新規の出店があります。工場では、新商品の開発があります。チョコレートのメーカーに聞いたことがありますが、生産のメニューに500品目もあるうち、売上が上位のヒット商品は20品目以下という。毎年、多くの新商品が開発されて消えています。
アマゾンには、1億品目があるという。コンスタントに売れているのは100万品目(1%)程度でしょうか。書籍だけでも200万品目はあるでしょう。世界で売れている本は1万品目か。
新事業と新商品が目指すべきことは、共通に「顧客の問題解決」です。マーケティングでは「顧客ニーズ」としてきましたが、これは当を得ていない。顧客ニーズでは、漠然としていて商品やサービスの形にならない。「新事業である新商品による顧客の問題解決」としたほうがいいのです。
卑近な例で言います。小さな居酒屋を出店するとします。この店舗で「顧客のどんな問題を解決するか」を考えていただきたい(医院の新設でも同じです)。
住宅地の至近に作る。住まいから住宅までの距離を短縮し、美味しく高品質なものを気軽な価格でしかも時間とコストの負担なく、通うことのできる店を作ることでしょう。距離がある。気軽に行けない。1か月1回平均しか居酒屋に行っていないという地域顧客の問題の解決を狙うべきです。
経営者が決める問題解決が、顧客が感じている不便や不満足を満たしたとき、その事業は発展します。小さな商圏で成立する小型の居酒屋なら、1店舗が成功すれば、次々に作ることができるからです。コンビニのように小商圏型(2000人)で、どこへも出店できるビジネスがビッグビジネスになるのです。
肝心な点は「現在の多くの顧客が抱えているどんな問題」を、気軽な価格(アフォーダブルプ・ライス=70%の顧客が買うポピュラー価格帯)で解決するかです。成功する事業の永遠の真理がこれです。
顧客が感じている問題を探求すべきものがマーケティング(市場化活動)であり、マーケティングよって形ができていくのがマーチャンダイジング(商品開発活動)です。
メニューの価格ラインが高いと、日本に189店しかない百貨店のように必要な商圏人口が大きくなって、珍しく1店で成功しても出店は難しい。大きな商圏が必要な事業の成長は遅い。失敗することが多い。よく見える商品を売って、きれいな商売には見える百貨店は、約50%に減ってきたのです。
近くの店舗の空きに200坪くらいのバラエティ・ショップの新店ができました。建物は新築でした。「面白い店ができたよ」と家人が誘ったので行きました。確かに、他に見かけることの少ない面白い商品を集めていました。しかしどれも「あってもなくてもいいものであり、価格は安くはない」。いざ買おうとすると、躊躇します。家人も同じでした。
開業時でもあり活き活きと働いていた若いスタッフには気の毒ですが「1年もつだろうか・・・たぶん難しい」と思ったのです。海外を含み、あちこちの面白い商品を集貨しただけで、顧客の問題解決はしていない。家人は買わず、店を出ました。
経営者には、顧客のどんな問題を解決するかを、今日から考えていただきたい。そうでないと、せっかくのマネーを使った事業が消えます。
今日は2時半から、歯磨きのサンスターが作った歯科医院です。客(患者)が多い。街の歯科医院があまり熱心ではない歯科衛生(歯周ポケットの掃除、歯石の除去など)と歯科美容が多く、機械は最新式。1年半に10回くらいは行きました。「歯の健康維持という問題解決」を行っています。自宅から100mくらいにある歯科医には行かなくなりました。虫歯治療だけだったのです。
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