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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 221
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、アリババの地図アプリ「高徳地図」についてご紹介します。
中国でも、地図アプリはアリババの他、百度、テンセント、ファーウェイと主要なメーカーが開発をして公開をしていますが、最も人気のあるのはアリババ傘下の「高徳地図」です。
地図としての機能、精密さなどは、それぞれに優れた点があるものの、地図をツールとして使うのであれば高徳地図が図抜けています。例えば、ルート検索をして、途中に高鉄や特急列車、航空機などを使う部分があれば、高徳地図の中からそのまま交通チケットを購入することができます。タクシーやライドシェアの部分があれば、そのままタクシーやライドシェアを呼ぶことができます。
目的地がホテル、劇場、映画館、テーマパークであれば、その予約やチケット購入もできます。さらに飲食店の予約もできるようになっています。
これはアリババがグループ内にオンライン旅行会社「飛猪」やフードデリバリー「ウーラマ」、スマホ決済「アリペイ」を所有しているため、スムースな連携ができるのです。
地図アプリは、SNSや決済アプリ、ニュースアプリと同様に多くの人がほぼ毎日利用するアクティブユーザー数の多いサービスです。しかし、アクティブユーザー数が多いわりに、収益のあがらないサービスでした。
高徳地図はここを変え、収益のあがる地図サービスになろうとしています。例えば、車のルート検索をした後で、ルート沿いにあるスターバックスを検索し、そのまま飲み物を注文することができるようになりました。高徳地図のナビゲーションどおり進むと、スターバックの店舗に寄ることになり、到着すると、ジャストタイミングでスタッフが飲み物を持ってきてくれます。
また、店舗のページでは、クーポン券を販売することができるようになり、高徳地図の中でお店を検索して、クーポンを買い、そのまま店舗に行くことができます。クーポンの内容によっては集客に大きな貢献をすることになります。
ポイントは、高徳地図の中から外部サービスにジャンプをするというのではなく、高徳地図の中で購入から決済までができるということです。アリババがグループ内にさまざまなサービスをもっていて、それをうまく連携させているのです。この点で、他の地図アプリにはない利便性を提供し、それが人気になっているのです。
今回は、高徳地図が具体的にどのようなサービスを提供しているのか、その一部をご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 221
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▼目次▼
地図アプリはお宝の山。アリババ「高徳地図」のお金の稼ぎ方
小米物語その140
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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地図アプリはお宝の山。
アリババ「高徳地図」のお金の稼ぎ方
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今回は、アリババの地図アプリ「高徳地図」のマネタイズ手法についてご紹介します。
スマートフォン利用者のほとんどが、地図アプリを毎日のように使うと思います。毎日のように使うアプリと言えば、SNS(連絡)、検索(調べもの)、ニュース、決済、地図あたりが中心で、その他、人によって動画、音楽、ゲームなどになるかと思います。
このように日常的にアクセスされ、日間アクティブユーザー数(DAU)の大きなアプリはその多くが大きな収益を上げています。広告を出すだけでも多くの人が利用をするため、桁違いの収益を上げてくれます。ところが、この中で、地図アプリだけはなかなか収益をあげられずにきています。
日本で多くの人が利用しているグーグルマップの場合、プロモートピンという仕組みがあります。これはグーグルマップに登録されている店舗が広告を出せるというもので、「イタリア料理」「カフェ」などのキーワード検索に対して、リスト表示の上位に表示されるというものです。
しかし、どの程度の効果があるのか、今のところよくわかりません。というのは、グーグルマップの利用者は、すっかり星の数(評価)を参考に選ぶ習慣がついているからです。将来は、利用者の行動習慣も変わっていくとは思いますが、現状では、利用者から見ると、リストの上位に強制的に表示されるじゃまな項目に見えています。
実際、店舗リストは評価の高い順に並ぶため、低い評価となってしまいリストの下位にしか表示されない店舗が、リストの上位に表示されることを目的にして広告を出しているようです。つまり、広告の効果をねらうというより、リストの中の順位を上げるMEO(Map Engine Optimization、地図検索最適化)の意味で使われているようです。おそらく、SEO/MEOの企業が、グーグルマップの検索で、大手であるのに評価が低い企業/店舗に対して積極的に営業をかけているのではないでしょうか。
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