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高野孟のTHE JOURNAL Vol.644 2024.3.25
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1252》
裏口からコソコソと出て闇に紛れて消えていくアベノミ
クス/「異次元緩和」の11年間とは一体何だったのか?
【2】《CONFAB No.609》
閑中忙話(3月17日~23日)
【3】《IPPIN No.002》
私の逸品・その2<黒糖焼酎「紅さんご」>
■■INSIDER No.1252 24/03/25 ■■■■■■■■■
裏口からコソコソと出て闇に紛れて消えていくアベノミ
クス/「異次元緩和」の11年間とは一体何だったのか?
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
結局のところ、アベノミクスは、この11年間の政府・
日銀の経済・財政・金融政策によって何が達成されたの
かされなかったのかをキッチリと総括して国民に分かり
易く説明し、この国の将来に確信をえ与えた上で、表玄
関から堂々と「出口戦略」に従って退場していくべきで
あったが、そうはならなかった。まるで、目立たないよ
う裏口からコッソリ抜け出て闇に紛れて消えて行こうと
するかのような、3月19日の日銀金融政策決定会合での
「マイナス金利解除」だった。
●11年後の余りに無惨な現実
およそどこの国の政権でも、まず第一に達成すべき
は、国民が少しでも暮らしが楽になった、豊かになった
という実感が持てるようにすることである。その最も単
純明快な基準に照らすと、3月22日に内閣府が発表した
「社会意識に関する世論調査」で「今の社会で満足でき
ない点は?」との問いに対し、飛び抜けて多い答えが
「経済的なゆとりと見通しが持てない」の63.2%で、こ
の設問を始めた2008年以来最高だったというのは残念極
まりない結果である。それに次ぐのは「子育てしにく
い」28.6%、「若者が社会での自立を目指しにくい」
28.2%、「女性が活躍しにくい」26.2%。
また同じ調査で「現在の日本の状況で悪い方向に向か
っていると思う分野は?」の問いには、1位「物価」
68.4%、以下「国の財政」58.4%、「景気」58.1%だっ
た。
それだけではない。西野智彦が『ドキュメント異次元
緩和』(
https://amzn.to/4a8pvXL 岩波新書、23年12
月刊)で書いているように、アベノミクスの11年を通じ
て、
▼日本経済の潜在成長率は0.8%から0.3%に低下、
▼1人当たりGDPはG7で最下位に沈み、
▼名目GDPもドイツに抜かれて4位になり、
▼1人当たり労働生産性はOECD加盟国38カ国のうち29位
と低迷し、
▼平均年収では韓国にも追い抜かれ、
▼円安と資源高、そして産業空洞化で貿易赤字が常態化
した。
……これが、安倍さん、貴方が残した日本の惨状なの
ですよ。
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