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トヨタ「世界一人勝ち」、EVドロ沼回避 全固体電池27年発売 凄腕「営業利益率11%」

勝又壽良の経済時評
  • 2024/03/28
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HV絶好調で他社引離す 特許件数ダントツ世界1 EV小休止をフル活用へ 半導体企業と関係密接化 トヨタ自動車の経営戦略は現在、100%の成功である。リチウム電池によるEV(電気自動車)限界をいち早く見抜いて、次世代電池として全固体電池の開発に全力を挙げているからだ。世界中の自動車メーカーは、リチュウム電池EVへ一直線で進み設備増強に走った。一方のトヨタは、申し訳け程度のEV発売に止めて、現行EVに代替するHV(ハイブリッド車)増産で対応した。トヨタは、この真逆の対応によって無駄なEV投資をまぬがれたのである。 この戦略は、怖いほどの的中になった。現在のEVは、耐久消費財特有の発売初期に躓く「キャズム」(溝)に落込んでいる。耐久消費財は、普及率が16.5%程度の段階で販売が一段落する。初期ユーザーが、購入し終わり後は様子見の段階に入るのだ。そして、数年後に製品改良を経て再び販売が上昇に乗るものである。現在のEVは、まさにこの流れに沿った動きだ。 トヨタは、リチウム電池の欠陥を知り抜いており、全固体電池がカバーできると判断している。だが、この全固体電池も全能ではない。走行距離に自ずと限界があるからだ。こうした技術の限界から、FCV(燃料電池車)・水素エンジン車・合成ガソリンエンジン車といった全ての技術開発に取組んでいる世界で唯一の自動車メーカーである。 HV絶好調で他社引離す トヨタが、全方位の技術開発で先導できるのは、高収益体質であるからだ。トヨタのHVは、EV不振を尻目に「飛ぶように」売れていることでも分るように、経営戦略を多角化している。一つの技術に賭けないのだ。 米国では、HVがとりわけ好調である。その理由は、HVの性能が向上してガソリン車との燃費の差が拡大したことや、反対に価格差が縮まっていることが大きい。HVに強みを持つトヨタは、この恩恵がとりわけ大きいのだ。トヨタが、販売会社に支払う販売奨励金は2月が1台あたり1316ドル(約19万9000円)と、業界平均2828ドルの半分以下である。奨励金は、販売店にとっては値引きの原資になっている。つまり、HVはそれほどの値引きもせずに売れているのだ。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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