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【Vol.529】冷泉彰彦のプリンストン通信『国産航空機開発、成功の3条件』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「リニア中央新幹線は航空代替」  せっかく川勝知事が自滅した中で、リニアの工事の進捗が動き出すのかと思ったら、「リニアは新幹線の4倍の電力を使うので、原発再稼働が前提」とか「電磁波の被爆が不安」という種類の批判が出ています。  まず、電磁波の問題ですが、あれは電磁波ではなく「磁界」です。リニアモーターというのは、線路と車両の全体がモーターを形成しており、そのために強い磁力が出ます。ですから、例えば心臓のペースメーカーを装着している乗客に影響が出ないように、客室は徹底的な磁界のシールドがされています。  一部には、「飛行機の機長とかは生涯の被ばく量が決まってるみたいで。電磁波で、乗ってる乗員は果たして大丈夫か。具体的なことは検証されてない」などという批判もあるようですが、まずリニアは無人運転なので乗員は保安要員が必要な場合以外は乗らないと思います。要するに「ゆりかもめ」と同じです。  また、飛行機の場合は宇宙放射線に被爆するわけで、確かに危険性があります。ですが、とにかくリニアの場合は単純な磁界ですから、例えば地球上の磁力の特異点に居住している人に健康被害が報告されていないように、大きな問題はありません。  また「南アルプスのかなり地下を通る。何かあった時の非常口はどうするのか?」という問題については、既に非常口は設計されており、工事も始まっているとしか、お答えのしようがありません。  最後にエネルギー消費の問題ですが、確かに新幹線の3倍から4倍というのは事実です。ですが、リニアについては、新幹線を代替するのではなく、航空代替というのが究極の目的です。最終的に品川=新大阪が1時間で直結することで、羽田=伊丹・関空の短距離路線に大型機を飛ばすという、アンチ環境的な交通体系を改善するのが目的なのです。その観点から環境負荷を評価すべきプロジェクトなのです。  JR東海さんには、川勝知事の理不尽な攻撃にさらされて多少の疲労感があるのかもしれませんが、この種の質問については、どんどん積極的に反論していただきたいと思うのです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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