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渡辺勝幸の日本一元気になるメールマガジン
第4959号 令和6年4月12日(金)発行
発行部数 9,549 部
【生活のために就職していないか?】
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【生活のために就職していないか?】
わたくしは、『孟子』の読みを授けられてから二十年になりますが、
本章のような問題は、今まで普通の世間話と考えていました。
しかるに嘉永六年、江戸にあってペルリ来航による混乱を目撃し、
大いに本章に感慨するところがありました。
相模の浦賀は江戸防衛上の最も重要なる海の関所であって、
二百年来天下諸国の船舶を運漕するもの、
その厳重な規則を畏れないものはいませんでした。
ところが、今や外国船が出入する段になると、
その規則は大そう寛大であって、
全く取調べを行わず、全く税をとりたてず、
まるで盗人を会釈して門内に入れ、
賊を招いて座敷に案内するような有様です。
それから見ると、先般の厳重な規則は、
まさに乱暴をするためのものに外ならず、
そして今日の寛大な規則は、
乱暴を防ぐためのものではないのです。
孟子はかつて
「生活のために就職するには、(それは道を行うためではないから)
尊い位を辞退して卑しい官に満足し、
豊かな禄を辞退して貧しい禄に満足すべきもので、
どんな職が適当かといえば、門番や夜警がよいであろう」
〔万章下篇第五章〕
といっていますが、しからば浦賀の関役人は、
卑しい官に相当するものであるのか
貧しい禄に相当するものであるのか、
それは、全く生活のためにしているものであって、
国を守るためでも、民衆のためでもないのか、
極めて納得がいかない話であります。
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