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【痛くない死に方 2024年第15号】 坂本龍一さん「最期の日々」を見て… 死のその日までピアノを弾いた指

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2024/04/13
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2024年 第15号 【長尾和宏の痛くない死に方】 長尾和宏です。春は季節が進むのが早いですね。まるで成長期の子どもを見ているかの ようにめくるめくスピードで景色が変わっていくように思います。 うららかな気候とは正反対に、僕は毎日、腹が立って腹が立って仕方がありません。 なぜかって? そう、もちろん岸田総理の訪米です。 日本は、「対米従属」からさらに一段悪化した「対米隷属」になったように思うのは、 僕だけではないでしょう。 フーテン医者になってから早10カ月。僕の今の日々の生活を一言で表すのならば、 「学びなおし」、かな。学生の頃から働きづめ。さらに長尾クリニックを開業してから は、気が付けば患者さんもスタッフも増えて、自分のことよりも、患者さんのこと。 従業員のことを優先して働いていました。僕に限らず医者というのはたいてい「世間 知らず」です。世間を知る余裕がないしどうしても医学部卒≒頭がいいという先入観 のなかで生きてきていることも否めず、井の中の蛙になりがちだ。 医者になるための勉強が、世の中を知るための勉強とイコールではないことも、今の 医学部教育のゆがみを作っている一因だとは思う。 そんな僕が今、いちばん興味を持っているのは、現代史だ。 サザンオールスターズの歌、『ピースとハイライト』の中でも、 「教科書は現代史をやる前に時間切れそこが一番知りたいのに何でそうなっちゃうの?」 という歌詞があるけれど、本当にその通りだったなと今、身をもって感じている。 コロナワクチン禍によって、日本のマスコミは、「本当に国民に知らせるべきことを 知らせてくれない」ということを知った。 でも、そもそも。日本の教科書が、そうであった。 この国は敗戦以降、意図的に「無関心な日本人」を作ってきたのではないだろうか。 恥ずかしながら若かりし頃の僕は、「歴史は人間にとって、本当に必要なものなのか?」 と漠然と考えていた。過去を学ぶことで何かが変わるとは思えない、傲慢な時代があった。 でも今、少しずつ現代史を旅行や(僕にとって旅行とは、歴史と地理の学び直しに他な らない)、あるいは書籍や映画、そして今、毎晩のように聴いているどらえもんさんなど のXでのスペースによって、僕の価値観はだいぶ変わったように思う。 「歴史は人間にとって、必要不可欠なものである。なぜなら、過去の失敗からしか、 人間は未来を選べないからだ」というふうに考えが変わった。 歴史を知らなければ、失敗の本質を覗くことはできない。じゃあなぜ、日本は近代史を 頑なに隠すのか? 隠さなければならない事情があるのだ。なぜならばまだ、GHQが 日本に留まっているのだから。日本はまだ、アメリカの支配下にあるのだから。 一方、市民目線で語れば、先の戦争体験があまりに悲惨すぎて、言葉に残せる人がいな かった、という見方もあるだろう。 実際、戦地に赴いて帰ってきた男達は子供や孫に、多くを語ることがなかったという。 たまにテレビで、硫黄島や特攻隊の生き残りの人たちのインタビューをやっているが、 「死ぬ前にやっぱり話しておこう」と重い口を開き、断片的に言葉にする人ばかりだ。

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