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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』第541号2024.4.2配信

クルマの心
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□     伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』          第541号 2024.4.2配信分 ●肝心なことが語られていない 『立って半畳、寝て一畳』という諺(ことわざ)がある。古くから伝 わる有名な文句で、日本人なら正確な意味は不明でも何となく理解 が及ぶはずだ。これには後段があり『天下取っても二合半』と続く。 物質的な豊さが広く行き渡った現在では、生活様式がすっかり変わ りイメージし難いかだろうか。そんな狭い家なんて嫌だと言うかも しれない。身体感覚は住空間によって幾らでも変化するものだ。  二合半の飯だけで満足する人なんている?厳しく突っ込まれそう だが、そもそも米飯だけで済む食事なんて現代人の辞書にはない。 身も蓋もない切り返しが待っていることだろう。今を生きる日本人 は、目の前に広がる状況があたりまえだと思っている。  しかし、もちろんそんなことはない。現代的と表現されるすべて の事物は西洋を発祥の地とする。そして、その欧米由来の価値観が 文明開化の名とともに日本社会へと入り込んだのは明治維新からだ。 さらに暮らしぶりの西洋化が徹底されたのは、先の大戦に破れた後 ということになる。連合国(の主体は米国だが)の占領統治は執拗 かつ徹底して行われ、期間は実に6年半に及んでいる。  日本がサンフランシスコ講和条約に調印して独立を回復したのは 1952年。奇しくも私の生れ年だが、爾来72年もの時が過ぎている。 私は戦前を知らない。明治維新からわずか半世紀ほどで世界の列強 と伍する帝国を築き上げ、非白人国家として欧米と渡り合うまでに なった。結果的に敗戦の憂き目を見たが、その後日本社会は奇跡と 称される復興を遂げ、今でも五指に入る経済大国に登り詰めている。  私の記憶は、豊かさを究めてゆく(日本社会の)プロセスと重なる。 まだ貧しかった時代を覚えている。一方で絶頂を極める瞬間を知り、 再び困難に直面しながら未来を模索する。そんな現実を生きてきた。 少子高齢化が話題となってかれこれ16年が過ぎた。総人口がピーク アウトする中でデフレ経済が進み、国力の下降が懸念されたりもし ているが、現在この国の世界的評価は絶好調といっていい。人口の 減少は果たして悲劇なのだろうか。 世界を揺るがす『パンデミック』がアバウト4年間ほど続いた。 それが明けた今、巨大自然災害の脅威などネガティブな評価が際限 なく横たわるが、それでも地球は回り続けている。私はすでに老人 とカテゴライズされる世代になり、過去と未来を秤にかけると先行 きは明らかだが、老いぼれるつもりは1mmもない。このような時代 の変革期に立ち会える幸運を噛みしめている。偽らざる実感だ。  客観的に見て、日本に似た国はどこにもない。極東という地政学 的な要素もあるが、言葉を換えれば地の果ての一語に尽きるだろう。

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  • 価値観が大きく変化しようとしている今、なすべきことは何か? このまぐまぐ!のメルマガ『クルマの心(しん)』を始めて多くのことに気づかされました。ずっとフリーランスでやって来て40年、還暦を迎えたこの段階でまだまだ学ぶことが多いですね。どうしたら自動車の明るい未来を築けるのだろうか? 悩みは尽きません。新たなCar Critic:自動車評論家のスタイルを模索しようと思っています。よろしくお付き合い下さい。
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