━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
高野孟のTHE JOURNAL Vol.648 2024.4.22
※毎週月曜日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《目次》
【1】《INSIDER No.1256》
岸田訪米が示した日米首脳の究極の「時代遅れ」/滅び
ゆくアメリカ帝国への挽歌
【2】《CONFAB No.613》
閑中忙話(4月14日~20日)
【3】《IPPIN No.005》
私の逸品・その6
<「新潟酒造のノンアルコールビール」>
■■INSIDER No.1256 24/04/22 ■■■■■■■■■■
岸田訪米が示した日米首脳の究極の「時代遅れ」/滅び
ゆくアメリカ帝国への挽歌
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
岸田文雄首相は4月11日、米議会で演説し、米国はこ
れまで「ほぼ独力で国際秩序を維持してきた」が、「日
本は国家安保戦略を改定し……かつて米国の地域パート
ナーであったが今やグローバルなパートナーとなっ」て
「米国の最も近い同盟国として……共に大きな責任を担
ってい」くことを「ここに誓います」などと述べ、15回
以上ものスタンディング・オベーションを浴びた。
■米議会で拍手喝采
ここに示されている時代観を、もう少し言葉を補いな
がら整理すれば、こうである。
★首相演説全文=官邸HP:
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2024/0411enzetsu.html
▼法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持する
中心は依然として米国である。
▼その国際秩序は、全く異なる価値観を持つ権威主義的
な国家による脅威にさらされる一方、米国民の心の内に
は米国が引き続きそのような中心的な役割を果たし続け
るかどうかについて自己疑念が生じている。
▼とりわけ日本の近隣では、中国の対外的な姿勢や軍事
動向が、日本の平和と安全だけでなく国際社会の平和と
安定にとっても、これまでにない最大の戦略的挑戦をも
たらしており、また北朝鮮の核・ミサイル脅威、ロシア
のウクライナへの不当で残酷な侵略などがあり、今日の
ウクライナは明日の東アジアかもしれない。
▼米国が、たった一人で、国際秩序を守ることを強いら
れる理由はない。日本は既に、米国と肩を組んで共に立
ち上がっている。日本は、第2次世界大戦の荒廃から立
ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強
く、コミットした同盟国へと自らを変革してきた。国家
安保戦略を改定し、防衛予算をGDPの2%に達するよう
増額し、反撃能力を保有すると発表した。
▼両国のパートナーシップは2国間にとどまらず、米日
韓豪印比による3カ国・4カ国間協力、G7協力、ASEAN
との協力など、多層的な地域枠組みが生まれ、「自由で
開かれたインド太平洋」の実現を目指している。
▼日本は米国の最も近い同盟国であり、私は日本が米国
のグローバル・パートナーとして堅固な同盟と不朽の友
好をここに誓う……。
■冷戦根性丸出しの時代観
この度の過ぎた美辞麗句の散乱が虚しいのは、すでに
冷戦が終わって3分の1世紀が過ぎて、本質論の次元で
言えば、もはや「自由民主主義」と「独裁権威主義」と
で世界を二分する「陣営」は存在せず、従ってまたその
片方の陣営内においても、予め「仮想敵」を設定しそれ
に立ち向かうため「盟主」とその下に結束する「同盟
国」とで「敵対的軍事同盟」を結成するという観念も意
味を失ってしまったというのに、今頃になって「米国は
まだ頑張って下さい、日本が世界の誰よりも忠実な同盟
国として貴方を支えますから」と申し出ているという、
そのどうにもならない時代錯誤性にある。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)