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第263号(2024年4月22日) 米ウクライナ支援予算が復活へ

小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略
目次 【インサイト】米国の対ウクライナ支援予算がついに通過 ジョンソン下院議長の変心 命で前線を支えるウクライナ軍 支援予算の中身 バイデンはATACMS供与を決断できるのか で、支援が始まるのはいつ? 【NEW BOOKS】中国のロシア専門家による「ロシア敗北必至」論 Feng Yujun, “Russia is sure to lose in Ukraine, reckons a Chinese expert on Russia,” The Economist, 2024.4.11. 飯島健太『「悪の枢軸」イランの正体 核・監視・強権――八〇〇日の現場取材』朝日新聞出版、2024年 服部倫卓「【ロシアの“ゾンビ戦車”が戦場へ】質よりも量を優先、戦車供給から見るプーチン・ロシアの今」『Wedge ONLINE』2024年4月19日 【編集後記】病院めぐり 【インサイト】米国の対ウクライナ支援予算がついに下院通過 ジョンソン下院議長の変心  広く報じられている通り、長らく懸案となっていた米国の対ウクライナ支援予算案が4月20日に下院を通過しました。上院での承認とバイデン大統領の署名を経て月内には発効する見込みとされます。  ウクライナ支援をめぐっては下院の共和党強硬派の反対によって長らく予算承認が滞ってきました。その間の経緯は時事通信の記事が簡潔にまとめていますが、共和党強硬派を恐れるジョンソン下院議長が予算案の審議自体を先延ばしにし続けたことが停滞の大きな原因であったようです。  しかし、ジョンソン議長は今回、強硬派から解任動議が出ることも承知で審議に踏み切り、結果的にウクライナ支援予算を通しました。この態度の変化について、『ニューヨークタイムズ』が以下のような記事を掲載しています。議会内政治のためにウクライナ支援予算を滞らせていいのか、それはキリスト教福音派である自分の信念に照らして正しいことなのか、という苦悩の果てに職を賭して今回の決定に踏み切ったというもので、まぁいくらなんでも世の中そんなに綺麗にはできていないでしょう。  他方、人間は利益のためにしか動かないと考えるのもまた、量産型の「深そうで浅い人間観」であり、結局はジョンソン議長の正義感と政治屋としての打算と、そこにトランプの思惑(今回の決定前から急に物分かりのいいことを言い出すようになっていた)とかその他無数の要素が絡まってこういうことになったのではないかな、と思っています。この辺はいずれアメリカ政治の専門家が解説してくれるのを待ちましょう。

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  • ロシアは今、世界情勢の中で台風の目になりつつあります。 ウクライナやシリアへの軍事介入、米国大統領選への干渉、英国での化学兵器攻撃など、ロシアのことをニュースで目にしない日はないと言ってもよくなりました。 そのロシアが何を考えているのか、世界をどうしようとしているのかについて、軍事と安全保障を切り口に考えていくメルマガです。 読者からの質問コーナーに加えて毎週のロシア軍事情勢ニュースも配信します。
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